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経産省、二次創作物の著作権や利益分配をブロックチェーン管理する技術的要件定義をまとめ報告

初音ミクやニコ動関係者・業界有識者らを招き検討会開催

経済産業省試料より引用

 経済産業省は4月5日、ブロックチェーン活用のコンテンツサービスに必要な基礎的機能について調査・検討し、ブロックチェーンに関する技術的な要件定義を含む報告書を公表した。経産省は2018年11月より定期的に「ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会」を開催し、ブロックチェーン技術、著作権、音楽業界等の有識者らによる、ブロックチェーンを活用した利益分配の仕組み、その著作権法との整合性等について議論を行ってきた。これまでの全5回の検討会による検討内容について、報告書として取りまとめた。

 コンテンツのデジタル化が進み、原典となる創作物(以下、原作)に登場するキャラクターを利用して二次創作物を制作するなど、誰しもがコンテンツ制作者になれるプラットフォームの登場が著しい中、経産省はブロックチェーン技術の特性に着目し、これを用いたコンテンツの権利管理・利益分配のサービス・アプリケーションに必要な基礎的機能について、「ブロックチェーン技術を活用したコンテンツビジネスに関する検討会」を開催し検討してきた。

 検討会委員には、日本音楽著作権協会やNexToneなど音楽著作権を管理する団体・企業を始め、「初音ミク」などVOCALOID製品を製造販売するクリプトン・フューチャー・メディア、ニコニコ動画など配信プラットフォームや二次創作ツールを提供するドワンゴ、日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会、ブロックチェーン推進協会、日本ブロックチェーン協会ほかといった有識者メンバーが名を連ねる。

 検討にあたっては、音楽のn次創作(二次、三次もしくはそれ以降)を発信・視聴するプラットフォームとして、原作コンテンツとn次コンテンツの制作者の権利関係の記録や利用者からの支払対価の分配を行うサービス・アプリケーションを題材に議論。そのサービス・アプリケーションに必要な想定される機能として、権利・権利者の特定をする「登録」機能、権利者間の利益分配を行う「分配」機能、そして利用者からの対価を支払う「支払い」機能の3つを、ブロックチェーンに関する技術的な要件定義として取りまとめている。

 映画、音楽、アニメ、マンガ等の日本のコンテンツは世界中から共感を得始め、海外進出をするも、国内コンテンツ市場は、この10年間、約12兆円前後を横ばいで推移、新たな市場開拓の兆しを見出せていない現状があるという。他方で、インターネットやデバイスの技術進化により誰しもがコンテンツを制作したり発信したりできるプラットフォームが登場し、利用者同士がコンテンツを共有し、視聴し合い、これをもとに新たなコンテンツを創作する、n次創作を楽しむコミュニティが生まれている。

 検討会による検討事項は、こうした創作のうねりを新たな市場の創出と捉え、その取引を収益化(マネタイズ)することが、日本のコンテンツ産業の新たな活路となると考えられるとしている。n次創作市場では、多数の人々が様々な形でその制作に貢献していることから、その関係者に対して収益を還元する仕組みを早急に構築することが、市場拡大をもたらす可能性があるという。

 また、本検討に関連しては、コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(平成30年度二次補正予算)において、ブロックチェーン技術を活用した新たなコンテンツ制作・流通システムを開発・実証を行う事業への支援を予定しているという。