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イーサリアム、ノード運用ソフトGethバージョン1.9.0を公開

6か月の開発期間を経て370項目のアップデートを実施。

(Image: Shutterstock.com)

Ethereum財団は7月10日、Ethereumのノード運用ソフトウェアGo Ethereum(Geth)の最新バージョン1.9.0を公開し、アップデート項目をまとめた。開発期間は6か月。機能追加・修正は計370項目にわたる。GraphQLの導入や新たなハードウェアウォレットへの対応、エコシステム内での連携を強化するClef、軽量モードであるライトクライアントをさらに軽量化したウルトラ・ライトクライアントなどを実装した。バージョン1.9.0はGethの公式サイトよりダウンロード可能だ。

データベース構造の変更があるため、旧バージョンとの互換性はない。データの同期にかかる時間は劇的に短縮された。これまでEthereumのノード運用にはデータ書き込み速度の都合からSSDが必須であったが、バージョン1.9.0を使用したユーザーによると、SSDとHDDを併用してノードを運用することが可能になったという報告もある。

ネイティブサポートのハードウェアウォレットを追加

GethはこれまでLedger Nano STrezor Oneといったハードウェアウォレットをサポートしてきた。バージョン1.9.0では、新たにLedger Nano X、Status Keycardに対応する。また、Terzor Oneに関しては、旧ファームウェアへの対応を保持したまま、新ファームウェアへの対応を追加した。

Clefの実装

ClefはMartin Holst Swende氏が提案した、アカウントマネジメントツール。Ethereumエコシステム全体において独立した署名者を置き、鍵を安全に管理する仕組みである。GethをEthereumへの「非安全」(insecure)なネットワークゲートウェイとして機能させることができる。これは遠隔呼び出し(RPC)を介して、誤ってアカウントを公開してしまう問題への解決策になるという。

ClefはAPIを備え、Geth以外のノード運用ソフトウェアなどからも署名要求を行うことができ、Clefを通じてエコシステムを統合する。この機能を応用することでインターフェースの拡張なども実現できるとしている。

モニタリング機能の強化

モニタリング機能はリソースやイベントなど収集できるデータが大幅に増え、視覚化できるようになった。

Geth上のデータの視覚化

ノード検出プロトコルの改善

Gethはネットワーク上のノードを検出するプロトコルの改善を目指している。現在のプロトコルは試行錯誤に基づいたものであり、ネットワークが一つしか存在しないことを想定して設計されたものである。実際にはプライベートネットワークやテストネットなどが複数存在しており、非効率的だという。

改善策の一つとして、Gethは検出プロトコルにEthereum Node Record(ENR)という拡張機能を実装した。ENRはIPv6アドレスへのルーティングやUDPクローラーを用いてノードにインデックスを割り振ることが可能とする。接続性を向上させ、DNSに基づいた全く新しい検出プロトコルを作成でき、Torを用いた匿名接続でのネットワークへの参加などを実現できるという。