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NEM財団、カタパルトへの移行方法告知。ローンチ後2チェーン・2トークン運用

移行に関する決定事項についてNEMコミュニティと情報共有

(Image: Shutterstock.com)

NEM.io財団(NEM財団)、NEM Studios(NEMスタジオ)、NEM VenturesそしてテックビューロホールディングスからなるCatapultマイグレーション(移行対策)グループは9月16日、NEMコミュニティに向けて情報共有を目的とした共同メッセージを発表。NEMの次期バージョン「Catapult(NEM v.2)」ローンチに際して、現行バージョンからの移行方法について告知した。

移行対策決定事項

Catapultマイグレーショングループは、NEMがNIS1(NEM v.1)からCatapult(NEM v.2)へと移行するにあたり、予定されている計画および次のステップについてなど移行方法に関する決定事項を告知し、その詳細を明らかにした。以下が、主要決定事項の要約となる。


    【Catapult移行主要決定事項】
  • ネットワーク/チェーン:2チェーン
  • トークン名:2種類
  • ローンチ方法:新チェーンへのオプトイン(承諾制)
  • NIS1より移行されるもの:XEMバランス、マルチシグアカウント、ルートネームスペース
  • NIS1より移行されないもの:サブネームスペース、モザイク、モザイクバランス、Txデータなど、その他すべて

2ネットワーク/チェーン

ローンチ後は、NIS1と並行する形でCatapultを導入し、当面は2ネットワーク/チェーンで運用する。これは、Catapult開発当初からの決定事項だ。現行のNIS1とCatapultの技術基盤には互換性がないため、既存のノードをアップグレードで一気にCatapultへと切り替えるのは困難であるということからの決断である。また、強制的に切り替える中央集権的な決定は望ましくないという理由などにより、2チェーン方式が採用された。

2チェーン方式では、NIS1のデータが完全に残されるため、Catapultローンチ後も履歴の照会が可能であることを意味する。それにより、NIS1を利用してきたプロジェクトやホルダーは、自身で移行したいポイントを選択することができる。

2種類のトークン

2ネットワーク/チェーン運用のもとでは、2種類のトークンを持つ。チェーンのトランザクション手数料は、それぞれのトークンで支払うことになる。つまり、現行のXEMは継続となり、さらにCatapultのために新たなトークンが作成されるという。新しいトークンの名称については、現在検討中とのこと。

トークンの移行について

NIS1からCatapultへと移行するにあたり、保有するXEMの移行方法について考慮した結果、以下の「スナップショット」「トークンスワップ」「トークンアロケーション」という3つの方法に絞られたという。以下に、その3つの方法を解説するが、マイグレーショングループは熟考後、投票により「トークンアロケーション」が最も良い移行方法であると決断をした。

・スナップショット
この方法は、XEMバランスをコピーし、すべてのアカウントをNIS1からCatapultに取り入れるシンプルな手段。しかし、コピー後は膨大なNIS1のマルチシグアカウントがシングルシグネチャとなり、セキュリティが問題となるという。また、ホルダーの意思に関係なくXEM保有者を強制的にCatapultトークンの保有者へと切り替えるため、中央集権的な決定になってしまうことが懸念される。

・トークンスワップ
この方法では、ホルダーがローンチ前後にトークンの移行を自由にオプトイン(移行の許諾)することができる。ホルダーは、XEMを放棄することで、新たに発行されるCatapultトークンが与えられる。許諾制は非中央集権的なアプローチでもあり、またアカウントレベルでのトークン価値の分裂を避けることもできる。

しかし、課題もある。2チェーン方式による運営のもとでは、オプトイン後にNIS1上のトークンが放棄されることで、時間の経過とともにNIS1のオーナーシップが中央集権化する問題が生じることになる。オプトインプロセスの途中や移行の準備が整っていないプロジェクトに利用されるNIS1の安定性が、徐々に弱体化する結果につながっていくことになる。

・トークンアロケーション
トークンアロケーションでは、ホルダーがローンチ前後に自由にオプトインを行うことができるが、XEMトークンを放棄することなく、Catapultのトークンが与えられる。ただし、ホルダーはCatapultローンチ前に「NEM Wallet」またはプログラムからトランザクションを送りオプトインを宣言し、その意志を示す必要がある。宣言後、Catapultのネメシスブロック(最初のブロック)は、オプトインしたアカウントにCatapultトークンを配布する。

ネメシスブロックによって主張されていないトークンは、透明性のある定款・信託証書およびリーダシップを持つ法人のもとに置かれ、今後定義される期限まで稼働するという。稼働については数年間にわたることが予想されるため、新たな法人がこの目的のために作られる可能性があるという。詳細については、決定次第情報を提供するとした。

NIS1より移行されるもの

Catapultは、ローンチ前にオプトインされたすべてのアカウントのパブリックキー、XEMバランス、マルチシグ設定とルートネームスペースを移行させる。オプトインはNIS1のオンチェーンで行うことを決定した。注意が必要なのは、ルートネームスペースをローンチ後に移行させることはできないことだ。ローンチ前に移行されなかったネームスペースは、ローンチ後は自由に取得が可能になる。

NIS1より移行されないもの

トランザクションペイロード、サブネームスペース、他のモザイクやモザイクバランスなど移行されないものについては、NIS1で引き続き利用が可能となる。Catapultローンチ後もアクセスができるとした。また、NEM財団とNEM Studiosは、移行を希望するプロジェクト向けにそれらが利用できるツールの開発に取り組んでいる。それらが2つのテストネットで利用可能になれば、さらなるアップデートが期待されるという。

次のステップ

移行に関する事項が決定したことにより、Catapultマイグレーショングループは次のステップについても、情報共有する。

今後は、Catapultベースのネットワークに何が必要で不必要なのか、ローンチとその後に必要な活動を明確にする。また、移行の実現可能な時間についての情報を収集し、計画をまとめていく。移行の実装後は、その活動を積極的に監視し、進行状況について定期的にコミュニティに報告するとした。

Catapultマイグレーショングループは、Catapultローンチに関する意見についても広く募集をしている。今回、意見投稿用としてGoogleフォームを設置した。フォームは匿名による投稿が可能となっている。