仮想通貨(暗号資産)ニュース

FRBが中央銀行デジタル通貨発行の実現可能性を検討中

理事「米ドルの重要性低下させてはならない」

米連邦準備制度理事会(FRB)のラエル・ブレイナード理事は2月5日、スタンフォード大学経営大学院で講演し、FRBが中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の米国での導入について調査や検証を行っていることを明らかにした。

ブレイナード理事は、国際決済銀行(BIS)の調査を引用し、中央銀行の80%以上がCBDCに取り組んでいることや、中国がデジタル通貨発行準備を加速させていることを紹介、「米ドルの役割を考えたとき、米国はCBDCに関する研究と政策の最前線にとどまらなければいけない」と発言し、FRBが分散型台帳技術とデジタル通貨の応用範囲やその可能性について調査していることを明らかにした。また、他国の中央銀行とも協力しているという。

ブレイナード理事は、通貨や決済のデジタル化がコストの軽減と利便性を産むことや、テクノロジー企業のフィンテックへの進出が金融包摂を強化することを認めつつ、FacebookのLibra(リブラ)などを念頭に「一部の新しいプレイヤーは金融システムの規制のガードレールの外側にいて、プライバシーや金融の安定、金融政策の伝達に障害を引き起こす可能性がある」と指摘した。

また、デジタル決済についても、「銀行は限度額まで消費者の預金を保護することを求められ、厳しいデータセキュリティ基準も順守している。非銀行企業は、同じレベルの保証を提供しない可能性があることを、消費者は分かっていないかもしれない」と、リスクに言及した。

ブレイナード理事は、デジタル通貨やデジタル決済が、既存の決済システムの複雑さをどの程度簡単にするか、そして金融システムにどのような影響を及ぼすかなどメリットとデメリットの両方を米国の事情に合わせて精査していく考えを示した。