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米FRB議長「Libraに火をつけられ中央銀行デジタル通貨研究中」

早期発行には慎重姿勢

(Image: Shutterstock.com)

米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は2月11日、下院金融サービス委員会での証言で、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の取り組みについて問われ、「FRBは、デジタル通貨の研究に精力的に取り組んでいます」と述べた。

パウエル氏は従来、CBDCの発行については距離を置く態度を取っていた。2019年12月にはムニューシン米財務長官が「FRBのパウエル議長と議論してきましたが、我々は近い将来、つまり今後5年はFRBがデジタル通貨を発行する必要はないという考えで一致しました」とも述べていた(参考記事)。

パウエル氏はこの日、「昨年発表されたFacebookの仮想通貨プロジェクトLibra(リブラ)が火をつけ、銀行がこの問題に取り組むようになった。それが目覚めの合図となった」と述べ、Libraが契機となって、CBDCへの態度を変化させたことを示唆した。

一方でパウエル氏は、FRBがただちにCBDCの開発に着手することはないと強調。「サイバー攻撃、プライバシー保護、そしてさまざまな代替案など、多くの課題を精査する必要がある」と語った。

パウエルは、中国人民銀行が開発するデジタル人民元についての見解も問われ、「デジタル人民銀の方式は、米国にフィットしない」との考えを示した。

米国のCBDCを巡っては、FRBのラエル・ブレイナード理事も2月5日、「米ドルの役割を考えたとき、米国はCBDCに関する研究と政策の最前線にとどまらなければいけない」と発言し、FRBが分散型台帳技術とデジタル通貨の応用範囲やその可能性について調査していることを明らかにした(参考記事)。