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日本のIT業界、人材のボーダーレス化で人材不足深刻に=ガートナー予測

2025年までに5倍。急増する「隠れた人材」の獲得が企業の課題

(Image: Shutterstock.com)

ガートナー ジャパンは3月3日、「2020年以降に向けたIT人材戦略に関する展望」を発表した。同社は20205年までに日本のIT人材のうち5万人が「隠れた人材」(インビジブル・タレント)化すると予測した。

「隠れた人材」とは、デジタル・プラットフォームを通じ、国境を越えて居住国外の企業で働く人々を指す。オープンソースプロジェクトを中心としたブロックチェーン業界では、すでにメジャーな働き方だ。世界中でIT人材の不足が叫ばれる中、優れた人材を獲得するために、従来の常識にとらわれない斬新なIT人材戦略の導入が求められる。

ガートナーが2019年に実施したCEOおよび上級経営陣向けの調査では、ビジネス戦略の実現に向けて改善すべき組織的能力の第1位は人材管理だった(出典:ガートナー、2020年3月)

日本のIT業界において「隠れた人材」は、現在約1万人いるとされる。ガートナーの予測は、今後5年の内にこの数字が5倍に増加するというものだ。なぜこのような急増が考えられるのか、同社の足立祐子氏は、「技術者の中には、給与やポジションよりも自己成長をモチベーションの源泉と考える人が多い」と分析し、「賃金、技術者への正当な理解と評価、技術者のニーズ(職場環境、テクノロジ導入、働き方)などの面での不満」に日本企業が対応できていないことを根拠とした。

こうした現状の打開策として、足立氏は海外にも基盤を持つクラウドソーシング・コミュニティやタレント・プラットフォームを積極的に利用することを推奨した。また、組織体制を柔軟にし、「隠れた人材」に適した雇用形態を導入することも当然必要だという。

そのほか、ガートナーは従来の「スキル・ベース」での人材戦略の限界についても示した。イノベーションを推進できる人材を獲得するためにはスキル以外の面でも総合的に判断する「プロファイル・ベース」での人材戦略が必要となり、今後アプローチ手法の転換が進むと予測している。