仮想通貨(暗号資産)ニュース

アートにブロックチェーン証明書付与するICタグをスタートバーンが提供開始

作品の所有歴・展示歴など記録。東方文化支援財団が3000枚導入

Startbahn Cert.サービス概要

アート領域でのブロックチェーン活用に取り組むスタートバーンは3月25日、アート用ブロックチェーン証明書発行サービス「Startbahn Cert.」のベータ版をローンチした。同サービスは、アート作品とひも付く「ICタグ付きブロックチェーン証明書」の発行・移転・情報閲覧が可能になる証明書とICタグをセット提供する。すでに、東方文化支援財団にICタグ付き証明書3000枚を有償にて供給することが決定している。

Startbahn Cert.は、同社が開発するブロックチェーンによるアート作品流通インフラ「Startrail」(旧アート・ブロックチェーン・ネットワーク)を利用した新サービスとなる。Startrail上で発行される「Startrailブロックチェーン証明書」と「Startbahn Cert.」の「ICチップ付き作品管理タグ」が付けられたアート作品をひも付けし管理する。実空間における作品の流通状況など来歴情報と証明書の連携を容易にする。

Startbahn Cert.にてセット提供されるICタグは、組み込まれたICチップ(NFCチップ)の「UID」(ユニークなID)とブロックチェーン証明書のIDが一対一の関係でひも付く。アート作品の流通に関わる事業者は、Startbahn Cert.のウェブサイト上で作品の制作者や所有者に対する証明書の発行、取引に応じた来歴の更新が可能になっている。証明書の来歴情報には、作品の所有歴や展示歴などが記録できる。

また、アート作品を入手したユーザーは、ICタグにスマートフォンをかざすことで、Startbahn Cert.アプリのビューアを開くことができ、作品情報・発行者情報・来歴・個別規約など、証明書に記録された情報を閲覧することが可能になるとともに、作品自体の真正性が担保される仕組みになっている。

証明書情報を閲覧するビューア

Startbahn Cert.の価格は、ICタグ付きのシールタイプが1枚3000円(税別)、カードタイプが1枚3500円(税別)から。アート作品の形状や素材に合わせられるようシールまたはカードの2種類から選択できる。事業者名やロゴなどを入れたオリジナルデザインも可能(カスタマイズは別料金)。国内外のギャラリーや美術系学校などの証明書発行団体に向けて販売する。

すでに同サービスを、2019年10月にスタートバーンとの事業提携を発表した東方文化支援財団が導入を決定しており、スタートバーンはICタグ付きブロックチェーン証明書3000枚を有償にて供給する。アジアを中心としたアート活動や若手アーティストを支援する東方文化支援財団は、アーティスト支援の一環として、ICタグを必要とするアーティストに、選考の上、ICタグを無償で提供することを明らかにしている。

Startrailは、ABNという名称で1年を超える実証期間を経て、3月13日より本格稼働に入っている。Ethereum上でスマートコントラクトを用いて構築されたStartrailは、ERC-721トークンを用いて証明書を発行し、アート作品の来歴情報を記録する。作品の所有権を電子的に管理することができる。SBIアートオークションが主催する美術品の競売会などで実際にStartrailが利用されている。

ICタグのオリジナルデザインカードイメージ
ICタグのオリジナルデザインシールイメージ
ICタグに内蔵されているICチップ