ニュース解説
仮想通貨マイニングのブロック報酬の半減期とは?
ライトコインの価格高騰との関連性やセキュリティにどのような影響を与えるのか
2019年6月17日 12:57
昨今、Litecoin(LTC)の暴騰で仮想通貨マイニングの半減期が話題になっている。本稿では、ビットコイナー反省会にて6月13日に放送された「ライトコインとビットコインの半減期のシナリオ」の内容を元に、半減期とはどういうもので、何を目的に実施するのか、仮想通貨の利用者にどのような影響があるのかをまとめる。
半減期とは何か
半減期とは通貨の発行総量を制御するための仕組みだ。例えばBitcoin(BTC)の場合、発行総量の上限は約2100万BTCと定められている。新しいBitcoinがどこから来ているかと言うと、マイニングによって生み出されている。マイナーが得るブロック報酬を、特定の周期で段階的に減少させていくことで総発行量の制御を行うというのがBitcoinの考え方だ。
Bitcoinの2009年1月のリリース当初のブロック報酬は50BTC。2012年11月28日に最初の半減期を迎え、25BTCになった。その後、2016年7月9日の半減期で12.5BTCとなり、今に至る。ブロック報酬が6.25BTCとなる次回の半減期は、2020年5月頃と推測されている。なお、Bitcoinのマイナーはマイニングによって、ブロック報酬に加えて利用者が支払う取引手数料も報酬として得る。
Bitcoinの場合、この段階的なブロック報酬の減少が、都度半減と定められているため、そのタイミングを指して「半減期」と呼ぶ。Bitcoinのソースコードを参考にして派生した仮想通貨の多くは、設計段階でその通貨の総発行量を決めている。
総発行量とブロック報酬でどう折り合いを付けるかはブロックチェーンによって異なる。例えば現行のEthereumでは半減期を設けず動的にブロック報酬を減少させていく方式が採用されている。Rippleなら総発行量をリリース段階で発行済みであり、仕様の違いから半減期もブロック報酬も存在しないなど、その仕様はまちまちだ。
半減期が起きるとどうなるか
半減期はその仮想通貨の市場価格に大きな影響を与える。冒頭でLTCの値上がりについて触れたが、半減期が近いことに起因する。Bitcoinのソースコードを参考にして2011年に誕生したLitecoinもまた、Bitcoin同様に半減期の仕組みを持っている。Litecoinの1回目の半減期は2015年8月26日。2回目の半減期は8月初頭と推測されており、ブロック報酬は現行の25LTCから12.5LTCとなる。
先に説明したとおり、BitcoinやLitecoinで半減期が訪れるとマイニングにより新規に生成される単位時間あたりの通貨量が半減する。すなわち、通貨の希少性が向上することを意味する。シンプルに考えて、通貨の希少性が高まれば通貨単位あたりの価値は高くなる。これを目当てに通貨の買い手が殺到する。結果として、半減期の実施前に市場価格の上昇が起きるのが通例となっている。
BitcoinやLitecoinの過去の半減期、および同様の現象であるEthereumのハードフォークを参考にすると、半減期による市場価格の上昇は、およそ2か月から数週間前までの間にピークを迎える。その後、暴落し緩やかに価格が低下。半減期の実施日以降も一定期間価格が減少し続ける傾向がある。
重要なのは、半減期後には結果的に市場価格が下がった状態になるということだ。Bitcoinのように需要が高く、トランザクションが盛んであれば取引手数料の徴収でマイナーの報酬が保証されるため、再び価格が上昇する傾向にある。
一方、Litecoinの場合は比較的実需が小さい。このまま何度も半減期を繰り返すと、半減期直前の値上がりがなくなり、市場価格は下降の一途をたどる可能性がある。するとマイニングに対するインセンティブの低下からノードが減少し、ネットワーク自体のセキュリティの低下をも招く懸念がある。
まとめ
以上、半減期とそれに伴う事象について説明した。8月初頭に予定されるLitecoinの半減期は同ブロックチェーンの第1680万ブロックにて実施の予定だ。ブロックの生成速度によって実施日は前後する可能性があるが、現時点では8月4日前後と見込まれている。詳細な時刻については、ブロック生成速度を元にGoinGeckoが半減期までの日数をカウントダウンしているので、そちらをご確認いただきたい。