5分でわかるブロックチェーン講座
第4回変化の早い暗号資産業界、新たな取り組みが生まれる一方で古参の撤退も
2020年2月18日 15:22
1.新たな業界団体、コンソーシアム、署名活動
今週(2月11日から2月17日までの1週間)は、日本国内における新たな業界団体の発足、共同声明の発表が相次いだ。まずは、ブロックチェーンコンテンツ協会の発足から取り上げる。
国内ブロックチェーンゲーム業界を牽引するdouble jump.tokyoやアクセルマーク、CryptoGamesをはじめとする10社が2月13日、ブロックチェーンコンテンツ協会を発足した。世界一ともいわれる日本のブロックチェーンゲーム市場を中心に、ブロックチェーンで管理されるデジタルコンテンツが増加する昨今において、消費者保護を強化することが目的だ。協会は今後、ガイドラインの策定やルールの整備を行っていく。なお、同協会に加盟するのは、アクセルマーク、カレンシーポート、CryptoGames、gumi、スタートバーン、スマートアプリ、double jump.tokyo、トークンポケット、博報堂、フィナンシェの10社。
ブロックチェーンコンテンツ協会にも加盟する博報堂をはじめ、朝日新聞社やユナイテッドを含む7社からも、共同での取り組みが発表された。「Japan Contents Blockchain Initiative」という名の自律分散型ブロックチェーンコンソーシアムは、ブロックチェーンを活用して国内におけるコンテンツの著作権保護と流通拡大を目指すという。コンソーシアム加入企業は、各社の保有するコンテンツを当該のブロックチェーンを使って保護することができる。
この1週間には、国内の暗号資産専門メディアからも共同声明が発表された。Cointelegraph Japan、COIN TOKYO、CoinChoice、CoinPostの4媒体は、暗号資産取引所に対するレバレッジ規制が、国内市場に大きな悪影響が出ると判断。共同で見直し運動の署名活動を行うと発表している。署名活動は2月12日より開始され、5日後の17日時点では1000名を超える署名が集まった。
参照ソース
- βテスト前のプレセール禁止。新たな業界団体が自主規制
[仮想通貨 Watch] - ブロックチェーンコンテンツ協会の設立宣言とブロックチェーン業界の発展
[CoinPost] - 博報堂と朝日新聞ら7社、コンテンツ保護と流通のコンソーシアム発足
[仮想通貨 Watch] - 暗号資産(仮想通貨)規制に関するメディア共同文書ならびにパブリックコメント支援のお願い
[CoinChoice]
2.世界各国の古参プロジェクトが撤退
変化の早い暗号資産業界では、新たな協会やコンソーシアム、取り組みが生まれる一方で事業の撤退や売却も相次いでいる。
日本国内に本社を置くメタップスは、韓国子会社で暗号資産取引所事業を展開するUPSIDEの全株式を外部に譲渡すると発表した。規制や市場変化といった外部要因の不確実性が業績に影響を与え、収支の算段がつかないことが今回の事業撤退の理由だという。
事業の撤退は日本国内に限らない。古参のDAppsとして多くのユーザーを抱え、市場の発展に貢献してきた分散型ソーシャルメディアプラットフォームSteemitにも、売却が報じられた。Steemブロックチェーン上で稼働していたSteemitは、中国を中心に勢力を拡大しているTronブロックチェーンに統合されるという。Tron創業者のJustin Sun氏は、今回の統合を前向きな戦略であると主張する一方、Steemit創業者のNed Scptt氏は、自身のツイッター上でSteemitを「売却した」と投稿している。
この1週間で最も大きく報じられた事業売却の話題は、JPモルガンから生まれた。米大手銀行JPモルガンが自社開発のブロックチェーンQuorumを、米ブロックチェーン開発支援企業ConsenSysへ譲渡する予定であることが明らかになった。両者で合意はされていないものの、2020年中に方針が固まる可能性が高いという。Quorumは、コンソーシアムチェーンとして一定のシェアを誇るだけでなく、JPモルガン独自のステーブルコインであるJPMコインにも利用される予定となっている。今後の動向にさらなる注目が集まりそうだ。
参照ソース
- メタップス、韓国の仮想通貨交換事業から撤退発表 | 規制コストが重荷に【ニュース】
[コインテレグラフジャパン] - 大手ブロックチェーンSNS「Steemit」トロン財団に事実上の売却
[CoinPost] - Steemit Joining TRON Ecosystem
[TRON Foundation Blog] - JPモルガンのブロックチェーンプロジェクト、合併か?イーサリアム開発のコンセンシスと:報道
[CoinDesk Japan] - Exclusive: JPMorgan in talks to merge blockchain unit Quorum with startup ConsenSys
[Reuters]
3.複数取引所が決算を発表
暗号資産市場を牽引する各取引所の決算は、毎回多くのメディアで報じられている。この1週間には、仮想通貨交換所であるGMOコイン、TaoTao、BITPointの各運営会社から決算報告が行われた。
GMOコインを運営するGMOインターネットグループは2月12日、2019年12月期の通期決算説明会を開催した。GMOコインの事業に相当するGMOインターネットグループの仮想通貨事業(暗号資産事業)は、売上高が前年比26.4%減の60億7000万円と減収するも、営業利益が9億5000万円の増益を計上、前年同期の13億6200万円減収から黒字に転換した。暗号資産取引のビジネスモデルが確立してきたことや、マイニング事業の再構築が好調である点が増益の要因だという。なお、GMOコインは2020年1月末時点での累計口座数も開示している。2019年12月末時点で29万9000だった口座数は、1月末時点で30万を突破したと発表した。
Zホールディングス傘下の暗号資産取引所TaoTaoからも、CEOの荒川氏より実績報告が開示された。2020年1月末時点での顧客預かり円資産は約9億円となり、2019年11月末時点の6.7億円から大きく増加したという。1月17日に発表した世界大手取引所Binanceとの「戦略的提携に関する交渉開始のお知らせ」による好影響はあったものの、口座数は1万人にとどまっている。取引額は、現物取引が約3.3億円、レバレッジ取引が約820億円となった。
2019年7月に暗号資産の不正流出が発生したビットポイントジャパンからも、親会社であるリミックスポイントを通して2019年4月〜12月期の決算が発表された。暗号資産事業が含まれる金融関連事業は、売上高が前年比62.9%減の7億4300万円、営業損益は6億3200万円の赤字となった。
参照ソース
- GMO、仮想通貨事業は黒字転換「見通し明るい」
[仮想通貨 Watch] - TaoTao:2020年1月の実績報告
[TaoTao] - ビットポイント、19年4~12月期は6.3億円の営業赤字 仮想通貨流出事件が響く【ニュース】
[コインテレグラフジャパン]