イベントレポート

インフォテリアがブロックチェーンやIoTなど成長領域における事業戦略を発表 〜新たな中期経営計画を策定

インフォテリアグループ経営方針説明会

インフォテリア代表取締役社長の平野 洋一郎氏

 インフォテリア株式会社は6月18日、報道機関、機関投資家向けにインフォテリアグループ経営方針説明会を開催した。同社代表取締役社長の平野 洋一郎氏が、新たに策定した中期経営計画を発表したほか、2019年3月期業績見込みやブロックチェーンやIoTなどの成長領域における事業戦略について解説した。

 同社は現在、2016年5月に発表した中期経営計画(2016年度〜2018年度)を実行中だが、2017年度の実績が売上収益31.1億円、営業利益5.8億円を達成し、すでに2018年度目標の売上収益24億円を上回った。最終年度目標の数値が目標にならなくなったことと、世の中の変化に合わせて事業構造を大きく変化させたことから、今回新たに中期経営計画を作成し、2018年4月から2021年3月までの3か年計画を発表。そのなかで2020年度目標を売上収益50億円、営業利益10億円とした。

中期経営計画の2018年度売上収益目標を2017年度の実績が上回った

 今年、創業20周年を迎える同社は、ビジョンとして「組織を超えたコンピューティングを実現するソフトウェアを開発し、世界規模で提供する」ことを掲げてきた。これまで、XML技術をベースにシステム連携を行うパッケージソフト「ASTERIA」(アステリア)を主力製品とし、企業内の多種多様なコンピューターやデバイス間を接続するソフトウェアやサービスを開発、販売してきたが、ここ数年はAIやIoT、ブロックチェーン技術など、新たな技術が続々と登場し、そういった技術を習得するには自社開発だけではなく、投資なくしては成長なしと判断。世の中はますます変化が激しくなり、かつグローバル化が進み世界的な競争が繰り広げられる環境になることから、今後は積極的なM&A(企業の合弁・買収)を実施していくことを、新たに中期経営計画に盛り込んだという。

 インフォテリアのM&A対象は、日本企業に限らず、北米、欧州、東南アジアなど、世界の企業を対象としている。また投資先として視野に入れている分野は、AIやビッグデータの「Data」領域、IoTやスマートデバイスの「Device」領域、ブロックチェーン技術やDappsなどの「Decentralized」領域、それらをサービスとしてデザインできる力の「Design」領域、この四つを「4D」と称し、重点投資領域として掲げている。これからは、データがIT資産となり、デバイスが必要不可欠なインフラとなり、分散して協調できる「個」の時代を迎え、そして「デザインファースト」の時代になると見込んでいるという。

重点投資領域「4D」

 同社はそれに併せて、AI/ML(機械学習)活用ラボ、デバイス連携活用ラボ、ブロックチェーン活用ラボの三つのチームを新設し、新たな研究開発体制を構築。これからはプロダクト単位の縦串の体制ではなく、これら新設チームを横串に、プロダクトとテクノロジーをうまく結合した体制で開発を行っていくという。

 計画としては、AI/ML(機械学習)活用ラボでは、主流であるクラウド型サービスを端末の近くにサーバーを分散配置するエッジコンピューティングによる処理を検討、注力し、処理速度、セキュリティー面の向上を図る。デバイス連携活用ラボでは、IoTの活用領域を広げるために汎用性のあるデバイス機器とソフトウェア主導の統合環境を構築していく。ブロックチェーン活用ラボでは、既存のシステムにブロックチェーンを活用するための技術の開発、スマートコントラクトなどの設定をノンプログラミング化し、汎用性を高めていくという。なお新設されるラボでは、それぞれの領域の技術を自社開発するだけではなく、他社のさまざまな技術も含め、新しい技術を先見性を持って活用していくことを目指すことが目的だそうだ。また組織についても、従来の階層的な組織ではなく、自立した各チームが動的についたり離れたりする、世の中の変化に柔軟に対応できる進化した組織にしていくそうだ。

左から、執行役員・熊谷 晋氏、社長・平野 洋一郎氏、副社長・北原 淑行氏

 最後にインフォテリア株式会社は、社名を10月1日よりアステリア株式会社へと変更することを発表(株主総会で決議された場合)。英字表記をInfoteriaからギリシア語で星座を意味するASTERIAとし、よりグローバルな企業へと成長するためにも世界に通じる社名にするという決意を表明した。

高橋ピョン太