イベントレポート

JVCEAが仮想通貨自主規制団体の金融庁認定を受け会見、年内にICO自主規制規則の確定・公表も

ウォレットのみ取り扱う業者やブロックチェーン関連業者も将来的には協会会員へ

東京都内で緊急記者会見

 仮想通貨交換業者の自主規制団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)は10月24日、同日付けで金融庁より資金決済に関する法律に基づく認定資金決済事業者協会に正式に認定されたことを受け、東京都内で緊急記者会見を開いた。

 会見には、同協会会長の奥山泰全氏(株式会社マネーパートナーズ代表取締役社長)、事務局長の福井崇人氏(アンダーソン・毛利・友常法律事務所・弁護士)、監事の高松志直氏(片岡総合法律事務所・弁護士)が登壇し、同協会が金融庁より自主規制団体に認定されたことについて奥山会長が改めて報告し、続いて質疑応答の時間を設けた。

会長の奥山泰全氏

 奥山会長は、同日より同協会がまとめた自主規制規則を施行し、自主規制業務を含む全業務を正式に開始することを報告した。また、黎明期にある仮想通貨交換業界は、今後もさまざまな出来事が起こることが想像されるが、常に「利用者保護」を第一に考えながら健全な仮想通貨市場の発展を目標に業界全体で取組んでいくことを宣言した。

 同協会がまとめた自主規制規則については、9月12日に開催された金融庁の「仮想通貨交換業等に関する研究会」第5回会議に、参考資料「仮想通貨交換業に関する自主規制の概要」として提出し、既に公開している。自主規制規則は、9月に起きたZaifの仮想通貨流出事件を受けて、ホットウォレットによる仮想通貨保有数の上限制限など、若干のアップデートはあるものの、すでに内容は確定し、協会正会員の総意が取れているそうだ。

 なお、自主規制の内容については「匿名仮想通貨禁止・ICOガイドライン・反社対策強化などJVCEAが自主規制の概要を金融庁にて説明」の記事で紹介しているので参考にしていただきたい。

事務局長の福井崇人氏

 同協会は、同日より自主規制規則の運用、会員検査・指導業務を開始したほか、電話による苦情受付業務の開始などを行っている。また、当面の予定として、11月には金融ADR(金融分野における裁判外紛争解決制度)に係る協定締結(紛争解決業務の委託)、第二種会員の入会受付の開始、技術委員会の運営開始を予定していることを資料にて報告している。

 ちなみに会員の種別は、第一種が仮想通貨交換業者、第二種は仮想通貨交換業登録申請中の者または申請予定者を指す。第三種は周辺ビジネスを行う事業者など、同協会の目的に賛同する者を対象とする予定とのこと。奥山会長は、会見の質疑応答で第三種の詳細は未確定だが、仮想通貨には欠かせないブロックチェーン技術関連の企業、資金決済法には定義されていないがウォレットなどを扱う業者などが想定されるだろうという回答を示した。

 さらに12月には会員取引高など月次統計の公表を開始し、年内にはICOに関する自主規制規則の確定および公表を予定している。年度内には、第三種会員の募集を開始する。

 ICOに関する自主規制規則については、すでに前述の参考資料で、会員が以下の行為を行う場合に関する自主規制を検討していることを公表している。


    自主規制
  • 会員が、自ら資金決済法に定める仮想通貨を発行し、利用者に対して当該仮想通貨を販売する行為又は他の仮想通貨との交換を行う行為
  • 会員が、会員以外の第三者が発行する仮想通貨について、当該第三者の依頼に基づき販売又は他の仮想通貨との交換を行う行為

 また、自主規制規則案としては、以下のような検討事項を挙げている。


    自主規制規則案
  • 対象事業の適格性、実現可能性及び実現可能性を審査
  • 販売開始時、販売終了時点、販売終了後の継続的な情報提供
  • 自社仮想通貨に利用するブロックチェーンおよびスマートコントラクト、当該仮想通貨を保管するウォレット等の安全性を検証
  • 利用者に情報開示した資金使途以外の用途に調達資金を使用することの禁止
  • 販売業務を行うに際し必要に応じて投資需要の調査を行う等の合理的に算出しうる方法を用いて、販売価格の範囲等の妥当性を審査

 なお、JVCEAは、「ICOの取扱いに関する規則・ガイドライン」を策定中であることを明らかにしている。

監事の高松志直氏

高橋ピョン太