イベントレポート

匿名仮想通貨禁止・ICOガイドライン・反社対策強化などJVCEAが自主規制の概要を金融庁にて説明

法整備に向け自主規制案「仮想通貨交換業等に関する研究会」第5回で報告

 本稿では9月12日に開催された金融庁の「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第5回)のイベントレポート第2回として、一般社団法人日本仮想通貨交換業協会がまとめた「仮想通貨交換業に関する自主規制の概要」について紹介する。

 なお、イベントレポート第1回「金融庁、仮想通貨交換業者の貧弱な内部監査部門や専門性を有する監査要員不足を指摘」では、同研究会で示された金融庁の「仮想通貨交換業者に対するこれまでの対応策等」(中間とりまとめ資料)について紹介しているので、そちらも合わせて読んでいただきたい。

認定資金決済事業団体として申請

 第5回研究会では、一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)会長・奥山泰全氏から自主規制の概要について説明があった。

 同協会は金融庁登録仮想通貨交換業者16社で構成され、従来、対立関係にあった業界2団体が金融庁の指導により設立登記。8月には業界設立の最大の目的であった資金決済事業者としての認定団体の申請を金融庁に行っている。

 協会の業務内容は「仮想通貨交換業に係る自主規制団体としての業務」だ。

 奥山会長は概要説明の最後に協会設立の目的について「投機目的が市場の多数を占める日本の仮想通貨市場を健全化するため、仮想通貨発行体への基準設定、法整備、モニタリング、詐欺・実態的利用価値がない通貨、ホワイトペーパーと整合性のない通貨の排除、マネーロンダリング対策のための世界的連携が必要だ」と述べた。

 また、仮想通貨交換業者は、「インフラの担い手であり、異なるインフラ間での価値交換・両替を担う。法定通貨と仮想通貨および仮想通貨間での価値交換による現実社会とネット上の価値ゲートウエイとしての役割を果たす」とした。

協会自主規制案の持つ意味

 2016年5月に成立した改正銀行法(情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法の一部を改正する法律)では、金融庁は仮想通貨に対して株式会社MTGOXの破綻などを受け、利用者保護の観点から仮想通貨取引所を登録制にすることにより「最低限の規制を設けることにした」(当時の金融庁でフィンテックを担当していた神田潤一企画官、現・マネーフォワード)ものだ。

 「日本の仮想通貨に対する法整備は諸外国に対して進んでいる」と言われる理由は、この登録取引所を介して規制するという仕掛けにある。

 コインチェック事件という大きな事件を経て、金融庁は対立していた2つの業界団体を統一させ“実質的な仮想通貨法”の成立を進めている。

 この日、説明された自主規制がそれに相当するものだ。

 以下、自主規制の内容について研究会にて配付された資料より抜粋して紹介する。

「匿名仮想通貨」の取扱を禁止

 奥山会長の発言で注目される点は、下記の通り。


    (1)協会体制を、10月を目途に20人程度増強し、事務局組織を強化
    (2)仮想通貨の差金決済、デリバティブ取引、ウォレットサービス等、資金決済法上において仮想通貨交換業該当しない業務であっても、近接業務として対応
    (3)システムリスク管理では資金決済法および事務ガイドラインに準拠した規定に加え、上乗せとなる態勢整備義務を規定
    (4)対象とする仮想通貨は同協会が取り扱いを認めたに限定し、「匿名仮想通貨」など利用者保護、公益上問題がある仮想通貨の取扱を禁止
    (5)証拠金取引は協会指定水準を4倍に指定
    (6)ICOについては審査、情報開示、安全性確保、調達資金使途、販売価格について自主規制規則の制定を検討

資金決済法上該当しない近接業務も対応

JVCEAの業務内容として、以下の10項目について定めている。


    (1)法令および自主規制規則を遵守させるための会員に対する指導、勧告その他の業務
    (2)契約の内容の適正化その他の仮想通貨交換業の利用者の利益の保護を図るために必要な指導、勧告その他の業務
    (3)会員の行う仮想通貨交換業の適正化およびその取り扱う情報の適切な管理を図るために必要な規則の制定
    (4)会員の資金決済法若しくは同法に基づく命令若しくはこれらに基づく処分または前号の規則の遵守の状況の調査
    (5)仮想通貨交換業の利用者の利益を保護するために必要な情報の収集、整理および提供
    (6)会員の行う仮想通貨交換業に関する利用者からの苦情および紛争の処理並びに相談
    (7)利用者の保護に資する情報の仮想通貨交換業の利用者への提供
    (8)仮想通貨交換業の利用者に対する広報その他本協会の目的を達成するために必要な業務
    (9)前各号に掲げるもののほか、仮想通貨交換業の健全な発展および利用者の保護に資する業務
    (10)仮想通貨および仮想通貨交換業並びにブロックチェーンなどの情報技術に関する調査研究、研修会などの開催

 ここで注目されるのは仮想通貨に関連する差金決済・デリバティブ取引、仮想通貨のウォレットサービスなど資金決済法上の仮想通貨交換業に該当しない業務であって、仮想通貨交換業者が手掛ける近接業務についても自主規制団体として対応することを明記したことだ。

第一種から第三種までの会員を設置

 会員の種別として、第一種仮想通貨交換業者=一般社団法人の社員、第二種=仮想通貨交換業登録申請中の者または申請予定者、第三種=周辺ビジネスを行う事業者など本協会の目的に賛同する者――を定める。

 また、事務局組織として2本部、5部、1室体制とし、今年10月に20名程度の人員を予定。

 組織については、下記の通り。

  • 検査部 第一種会員(登録仮想通貨交換業者)に対する検査
  • 指導部 第一種会員に対する業務支援・指導、第二種会員に対する申請支援
  • 調査部 取り扱い仮想通貨情報収集、国内外の仮想通貨関連の動向調査
  • 業務部 会員管理関係諸機関連携
  • 管理部 管理業務全般、内部監査各部業務監査を設置する
  • 技術委員会 会員技術責任者を中心に構成し、取り扱い仮想通貨の安全性など技術的側面からの評価を管轄する
  • 不服審査会 処分会員の不服申立て処理機関

自主規制の立ち位置

 利用者保護および公益保護を究極目的として、業務の適正性、公正・適切な取引慣行を確保・醸成し、かつ、仮想通貨の不正利用を抑止することをもって、利用者および社会との共生を図り、仮想通貨交換業の健全な発展を目指す。

 課題としては、市場の急拡大への対応、金融業者としての意識改善およびガバナンス強化、不適切な営業方法の是正、リスク管理態勢の強化、サイバー攻撃などの外部脅威への対応、マネーロンダリング対策・テロ資金対策、デリバティブ取引やICOなどの新たな取引類型に対する対処などをあげている。

 これらの課題に対して、自主規制による課題解決を行うとし、金融商品取引法などの他業態の金融規制法も参考に、仮想通貨特有のリスクを踏まえつつ自主規制規則を策定した。

 今後、会員に対して自主規制規則の遵守を促すとともに、社会情勢の変化や法改正、技術革新の動向を踏まえた柔軟な運用や規則改正などの措置を臨機応変に行うことにより、自主規制の実効性を確保するとしている。

13項目にわたる規則・ガイドライン

 資金決済法および犯罪収益移転防止法、事務ガイドラインなどの既存の規制に係る自主ルールを策定することに加え、現状の仮想通貨交換業務の実態上、利用者保護の観点から必要と考えられる事項について、金商法および金商業に関する自主規制規則などを参考に策定する。

 自主規制は以下の項目から成る。

  • 総則
    (1)仮想通貨関連取引に係る基本規則
  • 各種規程
    (2)仮想通貨の取り扱いに関する規則・ガイドライン
    (3)利用者財産の管理に関する規則・ガイドライン
    (4)システム関連規則=情報の安全管理に関する規則・ガイドライン、システムリスク管理に関する規則・ガイドライン、緊急時対応に関する規則・ガイドライン
    (5)マネーロンダリング・テロ資金対策関連規則・ガイドライン、反社会的勢力との関係遮断に関する規則
    (6)苦情処理および紛争解決に関する規則・細則
    (7)営業行為関連規則 勧誘および広告などに関する規則・ガイドライン、利用者の管理および説明に関する規則・ガイドライン
    (8)取引業務関連規則 受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン、不適正取引の防止のための取引審査体制の整備に関する規則・ガイドライン、仮想通貨関係情報の管理体制の整備に関する規則・ガイドライン
    (9)証拠金取引に関する規則・ガイドライン
    (10)財務管理関連 財務管理に関する規則
    (11)経営倫理・処分関連規則 会員における倫理コードの保有および遵守に関する規則、従業員などの服務に関する規則・ガイドライン、会員に対する処分などに係る手続に関する規則・考え方、不服審査会規則、会員調査に関する規則
    (12)ICOの取り扱いに関する規則・ガイドライン

仮想通貨関連取引に係る基本規則

 会員における仮想通貨関連取引の業務運営に関し遵守すべき基本方針を策定する。

 会員の経営陣において、業務推進や利益拡大といった業績面のみならず、必要な社内体制の整備を経営上の最重要課題として位置付けたうえで、その実践のための具体的な方針の策定および周知徹底について、誠実かつ率先して取り組む必要があることを明記する。

  • 経営管理
    取り扱う仮想通貨の特性・ビジネスモデルなどを勘案した財務・経営上のリスクの網羅的な検証、財務および経営上のリスクに適切に対応するための経営計画の策定・更新、経営計画を遂行するために必要な人的・物的資源の確保
  • 内部監査
    営業部門および内部統制部門から独立した内部監査部門を設置、被監査部門におけるリスクの種類・程度に応じた実効性ある内部監査計画の策定・実施、内部監査で指摘した重要な事項を遅滞なく内部管理部門および取締役会などに報告
  • 法令遵守
    経営管理の一環としての法令など遵守のためのコンプライアンス・プログラムおよび行動規範などの策定・実践、役職員のコンプライアンス意識の醸成・向上のためのコンプライアンスに関する研修・教育体制の確立・充実
  • 不祥事件対応
    不祥事件の発覚した場合に速やかに以下の措置をとることを規定
    内部管理部門および取締役会などへの報告、協会への報告、刑罰法令に抵触するおそれのある場合、警察などへの通報、内部監査部門による調査・解明、再発防止のための改善策の策定、関係者の責任追及、不祥事件によって影響の生じた利用者を保護するために必要な措置の実施

匿名仮想通貨は取り扱いを禁止

 新規の仮想通貨を取り扱う場合、会員による内部審査を行った上、当協会への事前届出を必要とし、当協会が異議を述べた場合は取り扱い不可とする。

  • 審査項目
    発行・取引状況、技術的事項、管理者・記録者・保有者などの状況、会員の管理能力などの審査内容を報告書形式によりモデル化
  • 利用者への情報提供
    当協会が取り扱いを認めた仮想通貨の概要説明書を公表する。利用者保護上または公益上問題がある仮想通貨の取り扱いを禁止する
    (1)移転・保有記録の更新・保持に重大な支障・懸念が認められる仮想通貨
    (2)公認会計士または監査法人による適切な監査が実施できない仮想通貨
    (3)会員においてシステム上その他安全な保管および出納ができないまたは困難な仮想通貨
    (4)その他会員において資金決済法上の義務を適正かつ確実に履行できないまたは困難な仮想通貨移転記録の追跡ができないまたは著しく困難な仮想通貨(いわゆる匿名仮想通貨)については、AML/CFTや適切な監査の実施の確保の観点から問題があるため、これら問題が解決されない限り禁止する

利用者財産の管理

 仮想通貨利用者財産の保護を図るため、資金決済法上の分別管理義務および事務ガイドラインに準拠した上で、仮想通貨を利用した証拠金取引に関する措置などの上乗せ規制を追加する。

  • 態勢整理
    分別管理部門の設置、教育研修・業務指導、受払担当者と照合担当者の兼務禁止、事故・不正などの防止のため各担当者の定期的な交代などの措置
  • 金銭の管理
    個別利用者区分管理金額(仮想通貨の売買などに基づき利用者から預託を受けた金銭を当該利用者ごとに算定した額)および利用者区分管理必要額(個別利用者区分管理金額の合計額)を毎営業日計算し記録する
    証拠金取引を行う利用者の個別利用者区分管理金額を計算するに際しては、利用者の保有する建玉の評価損益を反映の上計算する
    預り金を区分管理する口座(区分管理預金)の残高が利用者区分管理必要額に不足する事態を防止するために必要な金額を社内規則で定め、利用者の預り金とともに区分管理預金において管理する
  • 仮想通貨の管理
    個別利用者区分管理量(仮想通貨の売買などに基づき利用者から預託を受けた仮想通貨を当該利用者ごとに算定した数量)および利用者区分管理必要量(個別利用者区分管理量の合計額)を毎営業日計算し記録する
    オンラインで管理する仮想通貨の上限を設定する(単位時間あたり送金数量に応じ設定)。
    具体的な秘密鍵の保管環境(オンライン・オフラインの別)および保管方針を、自社ホームページなどに掲載する方法により利用者に対して周知(利用者保護に支障がある情報を除く)する
    マルチシグなど受払担当者による不正流用を防止するために必要な措置を講じる

システム関連規則

 利用者保護を達成するため、システムリスク管理全般について、業界全体としてその基礎を固めることが喫緊の課題であるとの認識に立ち、資金決済法および事務ガイドラインに準拠した規定に加え、上乗せとなる態勢整備義務を規定。

  • システムリスク管理
    システム統括責任者の設置および部署ごとのシステム管理責任者の設置、多段階のサイバー攻撃対策、被害拡大防止措置、取引リスクに見合った認証方式の導入。システムに内在するリスクの洗出しおよび計画的な改善、品質管理計画の策定
    システム開発時の品質評価・導入前検査の徹底、稼働状況の監視。定期的なシステム監査の実施、クラウドサービスを含めた外部委託先管理など
  • 情報セキュリティ
    情報セキュリティ方針の策定およびその概要の公衆縦覧、情報セキュリティ委員会および情報セキュリティ最高責任者の設置、各部署の情報管理責任者の設置。情報セキュリティに係るリスク基準の策定、リスクの特定・分析・評価・対応
    利用者の重要情報の洗い出し、管理ルールの策定、不正アクセス・情報漏洩などの防止
    仮想通貨の管理システムへの外部からの侵入に対する脆弱性などの定期的な点検など

 仮想通貨の管理に関する規定については当面の措置とし、国内外における仮想通貨の
安全管理に関する議論を踏まえて、適時に見直しを行う。

  • 緊急時対応
    コンティンジェンシープランの策定・更新、関係機関との連絡体制の構築、訓練の実施、重要なシステムに係る業務継続態勢の整備、バックアップシステムの設置
    利用者との取引に影響するシステムトラブルに関する報告など

マネーロンダリング・テロ資金供与対策・反社対策

 マネーローンダリングおよびテロ資金供与対策( AML/CFT )に関する規則・ガイドラインと反社会的勢力との関係遮断に関する規則を制定する。
 金融庁AML/CFTに関するガイドラインに準拠し、仮想通貨交換業者に求められるAML/CFT態勢について規定。

  • リスクベースアプローチ
    自らが直面するリスクを適切に特定・評価し、リスクに見合った低減措置を講じなければならない
  • KYC・CDD
    犯収法の規定にかかわらず、ウォレットの提供時などにも取引時確認の対象とする。反社情報のみならず、制裁リスト、PEPsリストなどを活用した新規および既存利用者のスクリーニングを継続的に実施する。継続的な利用者管理に加え、取引先などの管理も実施
  • 取引管理
    利用者属性や取引時の状況などの情報を勘案した取引モニタリングによる疑わしい取引の検出、当局への届出の徹底
  • データ管理
    確認記録・取引記録の正確なデータベース化、データベースを利用したリスクの評価や低減措置の実効性の検証を実施
  • 業務内容
    業容に応じた疑わしい取引などの検出・監視・分析態勢の構築
  • 経営陣の関与
    AML/CFTを経営戦略などにおける重要な課題の一つとして位置付け、経営陣が主体的かつ積極的に関与・理解
  • 責任者設置
    AML/CFT、反社対策の責任者の設置、責任者への情報伝達ルールの整備職員の確保・育成
    採用や研修などを通じたAML/CFTに関わる職員の適合性の確認

苦情処理・紛争解決関連規則

  • 事前説明(情報開示)
    苦情対応などに関する基本方針、受付担当部署または責任者名、担当部署などの所在地、受付電話番号、メールアドレスなど、受付時間、ADRの名称および連絡方法、協会への苦情相談方法

 上記事項に関する利用者への説明については、「利用者の管理および説明に関する規則」にて規定する。

  • 苦情処理体制の構築
    利用者が簡便かつ容易に苦情などの申出ができるよう苦情など窓口を充実化、重大事案は内部監査部門・経営陣に報告するなど必要な関係者間での情報共有など
  • 苦情受付記録の保管
    苦情受付時に記録開始、処理完了時まで都度対処を記録し保管することを規定
  • 金融ADRの利用
    東京三弁護士会が運営する金融ADRと提携
    苦情および紛争状況について情報交換、業界共通の課題が認められた場合にはその対処方法を協議
  • 当協会の苦情受付
    協会ホームページ経由および電話により会員に対する苦情を受け付ける。受け付けた情報は速やかに対象の会員に展開し、状況説明および対処を求める
    解決まで会員の対処状況をフォローし、遅延が認められる場合には重ねて対応を促す

営業行為関連規則

 勧誘および広告などに関する規則・ガイドライン、利用者の管理および説明に関する規則・ガイドライン。

  • 勧誘、広告
    仮想通貨の価格変動状況に鑑み金融商品取引法を参考に規定、勧誘開始基準(適合性原則、高齢者・未成年者に対する勧誘の制限など)、利用者の承諾を得ない勧誘の禁止、勧誘を拒絶した利用者への再勧誘の禁止
    勧誘時の禁止行為(利益供与、虚偽告知、断定的判断の提供、大量推奨販売、内部者情報取引など)、広告における表示義務(必須記載事項・文字サイズなど)、誇大広告の禁止
    射幸心または競争心を煽ることを目的とした広告の禁止、アフィリエイト広告規制、SNS利用規制、広告審査担当者の設置、審査記録の保存
  • 情報開示・説明義務
    資金決済法に基づく説明事項に加え、金商法を参考に開示事項を追加規定
  • 取引態様
    (1)
    仮想通貨の売買または交換
    (2)(1)の行為の媒介、取次ぎまたは代理
    (3)(1)または(3)の行為に関する利用者財産の管理
  • 取引方式
    (1)競争売買取引
    (2)マーケットメイク方式取引
    (3)店頭取引の別、(1)または(2)の取引方式において、会員がマーケットメーカーなどとして利用者と取引を行う場合にはその旨および理由、取引手数料などに関する説明(スプレッドに関する説明を含む)
  • サイバー攻撃により仮想通貨が流出した場合の賠償方針
  • 業務報告書、直近の財務書類・監査報告書の内容
  • 利用者との取引に係る利益相反の防止策、会員破たん時における利用者資産の毀損リスク
  • 利用者の納税支援に資するため年間報告書を提供
  • 利用者の禁止事項の明示(偽計・偽装・脅迫など、相場操縦、風説の流布、偽名・借名、内部者取引、虚偽申告など)

取引業務関連規則

 公正な価格、受注・約定を通じて仮想通貨取引の信頼性を高めるため、金商法などを参考に規定。

 受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン
 不適正取引の防止のための取引審査体制の整備に関する規則・ガイドライン
 仮想通貨関係情報の管理体制の整備に関する規則・ガイドライン

・受注管理体制
注文受付・約定処理業務に係る態勢整備義務を規定
ベンチマーク価格とのかい離防止、サーキットブレーカーなどの価格急変時対応措置
注文受付または約定処理が1分以上停止・遅延した場合をシステム障害として認定し報告・公表
ノミ行為、あらかじめ利用者の同意を得ることなく自らが相手方となって行う取引の禁止
利益供与、決済など遅延行為、空売り、名義貸しの禁止
・不適正取引の防止
取引審査部門の設置などの態勢整備
・不適正取引の具体的内容
価格変動を図る目的で行う一定の行為(風説の流布など)、相場操縦、架空名義による取引、内部者による「仮想通貨関係情報」を利用した取引など
不適正取引に係る取引審査および当協会への報告の義務付け
・仮想通貨関係情報
公表されていない会員および他の仮想通貨取扱業者並びに内部者(仮想通貨の発行者および管理者またはその関係者)に係る重要な情報であって、仮想通貨に係る取引判断に著しい影響を及ぼすと認められる情報
仮想通貨関係情報の適切な管理(情報管理部門の設置、記録簿の作成・保管、利用者への公表)
役職員による伝達の禁止、仮想通貨関係情報を利用した勧誘などの禁止、自己売買の禁止
内部者による取引の取引検知部門に対する報告、一定の場合の取引拒絶など

証拠金倍率は4倍

 仮想通貨を利用したレバレッジ取引における利用者の損失リスクおよび過剰な投機的取引を抑制するため、デリバティブ取引における証拠金率の決定方法を参考に証拠金倍率を規定、その他証拠金取引業務に必要な事項を規定。

  • 証拠金倍率
    協会指定水準=4倍(証拠金率25%)または会員自身が決定する水準の選択利用(1年限りの暫定措置)
    1年以内に会員における未収金の発生状況を勘案し、協会指定水準に統一する
    自ら倍率を決定する会員の利用者において1年内に未収金が生じた場合には、その時点で当該会員は未収金が発生することのない水準に速やかに倍率を切り下げなければならないことを規定。
  • 協会指定水準(4倍)の根拠
    2018年3月31日を起点にその前3か月、1年、3年を対象期間とし、主要な仮想通貨であるBitcoinの日次価格変動率をサンプルとした。未収金の発生を予防する観点からサンプルの99.5%が収まるラインを適正値とし、いずれの期間でもこのラインに収まる値を抽出。この結果、変動率約25%という値が得られたため、証拠金倍率を4倍に設定
  • ロスカット取引ロスカット取引の導入を規定、未収金(証拠金を上回る損失)が発生した場合には協会に報告
  • 価格かい離防止
    証拠金取引価格のベンチマーク価格との乖離防止措置をとるべき旨を規定
  • 自己勘定取引
    証拠金取引における自己勘定取引の関与状況を明らかにするため、各月の自己勘定取引結果の公表を規定、その他取引価格の形成に影響を与えることなどを禁止

財務管理に関する規則

 決済システムに関わる仮想通貨交換業者の財務健全性を維持するため、市場リスク、取引先リスク、オペレーショナル・リスク、流動性リスクを適切に管理すべきとの理解の下、具体的な措置として、次の事項についての自主規制規則化を検討。

  • 自己ポジション管理
    純資産額および自己ポジションにより生ずる価格変動リスクを十分に勘案して自己ポジションの限度額を定め、その範囲内で運用すること
  • 自己ポジションリスクのモニタリング
    自己保有する仮想通貨の時価および損益額を適宜モニタリングし、純資産の深刻な毀損を生じさせないようにポジションをコントロールすること
  • 自己保有仮想通貨の流動性を踏まえた資金繰り管理
    流動性の低い仮想通貨を保有する場合、市場クラッシュなど緊急事態に遭っても即座に資金繰りに窮することのないように、ポジションおよび資金状態を管理すること
  • 財務諸表・事業報告書
    利用者が会員の財政状態を容易に確認することができるようにするため、定期的に公表すること

 その他、協会が定める方法により算定する財務健全性指数(会員の財政状態の健全性を表す指数)により会員の財務管理を行い、当該指数を定期的に公表することも検討。ただし、具体的な算定方法などについては、取引先リスクなど計算上の重要な要素について引き続き検討した上で決定する方針。

経営倫理・処分関連規則

  • 会員における倫理コードの保有および遵守に関する規則
  • 従業員などの服務に関する規則・ガイドライン
  • 会員に対する処分などに係る手続に関する規則・考え方
  • 不服審査会規則
  • 会員調査に関する規則

 その他、経営倫理や会員に対する処分に関連する自主規制規則として、上記の5規則・ガイドラインを策定。
 このうち、「従業員などの服務に関する規則」は、役職員による内部者情報を利用した取引の禁止を規定。

ICOの取り扱いに関する規則

 会員が、以下の行為を行う場合に関する自主規制を検討する。


    (1)会員が、自ら資金決済法に定める仮想通貨を発行し、利用者に対して当該仮想通貨を販売する行為または他の仮想通貨との交換を行う行為
    (2)会員が、会員以外の第三者が発行する仮想通貨について、当該第三者の依頼に基づき販売または他の仮想通貨との交換を行う行為

 例えば、下記のような項目の自主規制規則化を検討。

  • 審査
    対象事業の適格性、実現可能性および実現可能性を審査
  • 情報開示
    販売開始時、販売終了時点、販売終了後の継続的な情報提供
  • 安全確保
    自社仮想通貨に利用するブロックチェーンおよびスマートコントラクト、当該仮想通貨を保管するウォレットなどの安全性を検証
  • 調達資金
    利用者に情報開示した資金使途以外の用途に調達資金を使用することの禁止
  • 販売価格
    販売業務を行うに際し必要に応じて投資需要の調査を行うなどの合理的に算出しうる方法を用いて、販売価格の範囲などの妥当性を審査

施行時期

 原則として、当協会の認定取得に向けて早期に施行予定。

 ただし、自主規制規則の範囲が多岐にわたることおよび会員の業態・業容も様々であるため、会員の意見を踏まえつつ、例えば、利用者に対する周知徹底のための期間を要する部分や追加の人員確保を要する部分、システム改修を要する部分については、段階的な施行とすることや、施行後の経過措置を設けるなどの調整を行う予定。

丸山 隆平