イベントレポート

JBA加納代表がV20で登壇。金融庁主導の仮想通貨法整備を各国に説明

「日本の仮想通貨法案は2年先行」FATF事務局ネイラン氏も賞賛

株式会社bitFlyer Blockchain・代表取締役の加納裕三氏

一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)は7月9日、定例会議を開催した。同協会代表理事へ新しく就任した株式会社bitFlyer Blockchain・代表取締役の加納裕三氏が登壇し、6月末に大阪で開催されたG20と同日開催のV20での会合についてまとめた。加納氏はJBAの代表として登壇し、日本国内の法規制について説明した。

JBAは一般社団法人日本価値記録事業者協会(JADA)を前身とし、2016年4月に発足。仮想通貨関連では最も古い社団法人となる。当初は政庁の認定を取得することを目的の一つに持っていたが、2018年10月にJVCEAが金融庁認定規制団体として正式に認められたため、JBAはブロックチェーンの技術面やビジネス面での活用に焦点を当て、加入企業間での知見の共有や検討などの活動を行っている。政庁に知見を提供することも役割の一つだという。

日本のブロックチェーン関連組織

加納氏はV20で、日本の金融庁(JFSA)がこれまでに行ってきた仮想通貨関連の対応について紹介した。金融庁はこの3年間で2度、改正法案を出している。日本の金融行政の優れた点は、ほぼすべての金融サービスを金融庁が単独で監督しているところにある。たとえば米国では銀行はFRB、証券はSECという風に担当する機関が分かれており、その区分が重複するような領域もあるという。

一方、日本においては銀行、証券、保険、仮想通貨取引のすべての領域において、監督官庁は金融庁に一任される。単独で担うため、業務の重複がなく、諸外国に対して比較的素早く対応を進めることができるのだ。

各国の金融機関に対する規制当局

2度の法改正の内、1度目はすでに施行済み。仮想通貨の定義づけや、仮想通貨交換業のライセンス制度、マネロン対策の義務づけなどが整備された。2度目の法改正は2019年6月に可決し、2020年までに施行予定だ。仮想通貨の名称を暗号資産に改めること、仮想通貨ウォレット、カストディ業者への規制の適用、レバレッジ取引のライセンス制度などが定められる。

V20に出席したFATF事務局のトム・ネイラン(Tom Neylan )氏は「日本の仮想通貨に関する法案は(諸外国に対して)2年先行している」とコメントしたという。今後はFATFによって一定水準以上のルール整備が求められる中で、諸外国の法整備が日本の水準まで追いついてくるという状況になるだろう。

日下 弘樹