イベントレポート

中小企業向けの端末導入でキャッシュレス戦国時代を戦うラカラジャパン

ブロックチェーンでさらなら付加価値の提供を目指す

ラカラジャパン取締役COOの八木秀樹氏

ラカラジャパンは中国に本拠を置くラカラの日本支社。アクワイアラとして、実店舗へのキャッスレス決済端末の導入を主要な事業としている。キャッシュレス戦国時代の様相を呈する現在において、サービスの差別化を図るために同社はmijinのブロックチェーン技術を採用し、新たな付加価値を生み出そうとしている。そんな構想を、11月15日に神奈川県・川崎市にて開催したFintech Venture-company Open Expoでラカラジャパン取締役COOの八木秀樹氏が話した。

オールインワン決済端末でキャッシュレス化を推進

キャッシュレス化が一層進んだ中国では、「現金お断り」の店舗も出始めていると八木氏は話す。とりわけWeChatPay、AliPayという決済手段が同国では有名だが、クレジットカードも含めると同国内に主要なキャッシュレス決済手段は30種以上が存在するという。そうした決済手段を実店舗で扱えるよう、店舗に対して決済端末の販売を行うのがアクワイアラたる同社の使命だ。

キャッシュレス決済の乱立は、日本でも目にするところだ。そういった決済手段に広く対応し、なおかつ1つの端末でプリンターやバーコードの読み取り機能までを網羅した端末を開発し、各店舗へ供給しているのがラカラ、そしてラカラジャパンという企業だ。中国本社側では、抱えるユーザー数は実に1億2000万人にも上るという。

オールインワン決済端末を手に、その機能を説明する八木氏

国内のキャッシュレス決済普及への課題の1つとして、小規模な店舗の対応が考えられる。チェーン店やコンビニ、デパートなどでは国内のキャッシュレス化は進んでいると言える。だが、個人経営の喫茶店などでは現金オンリーあるいは、数種類のキャッシュレス手段が使えるだけ、というのが現状だろう。こうした中小企業向けの導入に、同社は注力している。

1つの端末でキャッシュレス決済の全機能を提供できるラカラのプロダクトには、明確なメリットがある。それは導入コストの削減だ。一般的には、レジへのキャッシュレス決済導入となるとタブレット端末と、Bluetooth接続で連携するPINコード入力器の2つが最低限必要になる。場合によってはレシート発行用のプリンターも連携しなくてはならない。

これらを1つの端末ですべて行えるため、初期コストを減らすことができるのだという。さらには店舗がキャッシュレス決済の事業登録済みであれば、端末費用の3分の1はラカラジャパンが負担し、残りを国が負担する。端末導入費の店舗負担は0円になる場合もある。

ブロックチェーンでさらなる付加価値の提供を目指す

中小企業向けの展開で明確な優位性を示しながらも、プロダクトにさらなる付加価値を持たせ、サービスの質を向上させようと同社はもくろむ。そこで注目したのが、ブロックチェーンだ。現在は開発途中であるものの、この発表の場でその構想の一端を見せた。

同社はmijinのブロックチェーン技術を活用し「MIRAI WALLET」(ミライウォレット)なるアプリを開発中だ。同社の決済端末での支払時、クレジットカードやPay系などサービスの種類によらず、一律5%を同社の独自ポイントとしてウォレット上で付与する仕組みになる。この独自ポイントは、決済時以外にも店舗のレビューを行ったり、マップ上のスポットを訪れたりといった行動でも貯めることができるという。貯まったポイントは、クーポンと交換することが可能だ。

MIRAI WALLETの概要

すでにアプリのプロトタイプが完成しており、八木氏は決済端末の内蔵プリンターで印刷したQRコード付きレシートをアプリで読み取り、ポイントが付与されるという一部始終を実演した。さらに、付与されたポイントをクーポンとして発行し、QRコードを決済端末で読み取ることで支払いに利用できる姿を見ることができた。

決済端末でSuica決済。レシートに記載のQRコードをMIRAI WALLETで読み取ればポイントが付与される仕組み

アプリの開発がスタートしたのは2019年夏からで、11月時点で実際に動くところまでたどり着いたのは「予想以上のスピード」と八木氏はコメントしている。さらに機能を追加する計画があり、今後は歩いた距離に応じてポイント付与する仕組みや、その活動をほかのユーザーと共有できるSNS機能の追加、アプリが記録した活動をマーケティングに生かせるような仕組みを追加していくという。

究極のユーザーファースト

講演の中で八木氏は中国市場の動向や中国的な見方についても言及していた。中国と言えば模倣品といった印象があるが、あれらは「究極のユーザーファースト」なる理念に基づいて作られているという見方を紹介した。ある優れたプロダクトがあったとして、高額であれば一般の人が手に入れることは難しい。それをより多くの人に提供できるようにしようというのが根底にあるマインドなのだという。

こういった「ユーザーファースト」の考え方は、同社の事業にも反映されているように思う。アクワイアラによるエンドユーザーまで見据えたサービスの展開は、同社ならではの発想だと言える。

日下 弘樹