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PoliPoliがβ版をリリース、政治メディア×トークンエコノミーを狙う ~政治が題材のSNSアプリ「ポリポリ」

 株式会社PoliPoliは7月2日、政治を題材とするソーシャルメディアアプリ「ポリポリ」β版をリリースした。iOS搭載のiPhoneおよびiPad上で動作する。今回のβ版では、議論の場となる「トークルーム」の開設機能、政治家の情報一覧機能、政治家への質問の機能を新たに搭載した。同社は独自通貨Polinトークンに基づく「トークンエコノミー」を実装したソーシャルメディアを目指しており、今回のβ版はその前段階の機能を提供するバージョンとの位置付けである。

「ポリポリ」β版のアプリ画面例。トピックごとに議論する「トークルーム」、政治家の情報一覧の機能を備える

 PoliPoliは、政治、メディア、トークンエコノミーの各要素の相乗効果を狙うスタートアップ企業だ。代表取締役社長の伊藤 和真氏は19歳、慶應大学商学部2年生と現役の大学生だ。伊藤氏は大学入学後、iOSアプリ「俳句 てふてふ」の開発や、ベンチャーキャピタルF Venturesでのスタートアップ支援の経験などを積んだ後、政治×トークンエコノミーという事業アイデアを得て起業した。この2カ月ほどの期間で1000万円の資金調達株式会社LCNEMとの提携関連記事)、伊藤氏が開発した俳句SNSアプリ「俳句 てふてふ」を毎日新聞社に事業譲渡政治メディアPOTETOとの提携と、積極的な施策を打ち出して対外発表し、インタビュー記事などの露出も多い。

「トークンエコノミーで政治SNSがワークする」との仮説を検証

 今回のバージョンは、同社が考える政治×トークンエコノミーを実現する前段階の布石となる機能といえる。

 従来バージョンの「ポリポリ」は、政治家の情報の閲覧機能と、議論の場となる「トークルーム」の基本機能を実装していた。今回のβ版では、次のような機能を強化した。

  1. 政治トピックについて議論できる「トークルーム」を作成できる。
  2. 政治家の政策や実績を一覧して閲覧できる。
  3. 政治家へ質問できる。質問、意見、政策提言などを行える。「いいね」が多い質問には回答が返ってくる仕組みとした。
「トークルーム」の画面サンプル
政治家ごとの情報一覧ページ

 同社の構想では、今後は高評価の「トークルーム」での発言や、政治家への質問に対して独自通貨のPolinトークンを付与する機能を追加する。またPolinトークンによる政治家への献金(投げ銭)が可能なようにする。

 政治を題材とするソーシャルメディアと聞けば「荒れるのではないか」との懸念を持つ人が多いだろう。PoliPoliは、政治メディアの問題解決のためにトークンエコノミーを利用できるという仮説を持っている。まず「いいね」を集めた記事の筆者にトークンを付与する。トークンには通貨としての利用価値があることから、高評価の書き込みをするインセンティブとなる。これは、先行するトークンエコノミー型メディアのSteemitやALIS(関連記事)と共通するアイデアである。

 この独自通貨のPolinトークンの実現手段として、現段階ではNEMブロックチェーンの活用を考えている。NEMの技術に詳しいスタートアップLCNEMと業務提携しているのはそのためだ。同社の現段階での構想では、新規の仮想通貨の売り出しであるICO(Initial Coin Offering、あるいはトークンセール)は実施しない方向だ。その場合、Polinトークンに価値を与える別の方法が必要となる。現段階では、Polinで支払可能なサービスを用意し、Polinを独自通貨として循環させていくことで価値を形成する構想を立てている。

PoliPoliのトークンエコノミーの構想

つまり、PoliPoliが考えるトークンエコノミーとは、独自通貨Polinトークンを循環させる経済圏を作りあげる構想だ。利用者が高評価の書き込みを活発に行えば、より多くのPolinを得ることができる。Polinは政治家への献金や、連携サービス(政治に関連する配布物やポスターの印刷などをイメージしている)への支払いにも使えるようにする。Polinの配布に関するアルゴリズムは公開する。同社はPolin発行益を収入とする事業モデルを考えている。

 現状の「ポリポリ」β版アプリでは独自通貨Polinトークンの付与や流通の機能はまだ提供していないが、2018年内には実現する方向である。

PoliPoliのロードマップ。2018年内をめどにトークン機能を実装する予定

トークンはメディアを救うのか

 政治メディアもその一つだが、オンラインメディアが抱えている大きな問題がビジネスモデルだ。実のところメディア関係者が本当に納得している決定打はまだ登場していない。現状の主流は広告モデルだが、広告モデルの場合はサービスの利用者(読者)と、サービスの売り上げを作る広告主との利害が必ずしも一致しないという矛盾がある。

 追い打ちをかけるのが、フェイクニュースの横行などの話題だ。最近の一大スキャンダルとして、データ分析会社の英ケンブリッジ・アナリティカがFacebook上の個人情報を不正に取得し、ターゲティング広告など一連の施策に利用、それが米大統領選などに影響を与えたとする疑惑が発生している。

 Steemit、ALIS、そしてPoliPoliが挑むトークンエコノミーとは、広告モデルとは別の種類のビジネスモデルへの挑戦といえる。記事への「いいね」をトークンに変換するといった枠組みにより、読者から評価される記事を中心にお金が回るインセンティブ構造を作り上げようとする。ここで疑問点は、このスキームが本当に機能するのかという点だ。SteemitもALISも、今回のPoliPoliも、仮説検証の段階、あるいはそれ以前の段階にある。

 トークンエコノミーはまだ検証されていない事業モデルであり、大きな挑戦といえる。若い創業メンバーらが、政治とトークンエコノミーという「それぞれ難易度でいうとSクラス」(伊藤氏)のビジネスに挑んでいるPoliPoliの今後を見守りたい。