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ブロックチェーンで金融機関の本人確認を簡素化する実証実験

金融庁「FinTech実証実験ハブ」支援第1号案件

 金融庁は7月17日、フィンテック活用の技術改革を支援する「FinTech実証実験ハブ」第1号案件について、実証実験の終了を発表した。この実験は、本人確認(KYC)の事務手続きを簡素化することが狙い。ある金融機関で本人確認済みの顧客に対して、ほかの金融機関で再度の本人確認が不要となるシステムを、ブロックチェーン技術を用いて構築するというもの。一般社団法人全国銀行協会が設置した「ブロックチェーン連携プラットフォーム」が、2017年7月から2018年3月まで実証実験を実施してきた。

 金融機関による本人確認手続きは、マネーロンダリングやテロ資金供与対策、経済制裁対応のため、国内外で個人対象を含め厳格化が進められている。それに伴い、金融機関での事務処理が増大することが予想されている。そのため、金融機関が共通利用できるインフラを整備し、本人確認の効率化と高度化を両立させることが狙い。

 実験では、参加する金融機関のいずれかで本人確認済みの顧客が、ほかの参加金融機関で新規の取引を行う際に、再度の本人確認を不要とする仕組みを検討。「改ざん耐性」「高可用性」などの特性から、ブロックチェーン技術を採用したプロトタイプのシステムを作成し、仕様決定を目指し効果検証を行った。

構築した実験環境(デロイト トーマツ グループのプレスリリースより)

 実験の結果は、業務面、システム面ともに、今回要件として定義したレベルの簡易的な本人確認は十分に適用可能であることが確認されたと報告されている。ただ、実用化を目指すためには、利用者の需要性や利便性、法的論点など、まださまざまな課題が残るとしている。

 本プロジェクトのオーナーは、株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社三井住友フィナンシャルグループ、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ、デロイト トーマツ グループ。プロジェクトメンバーは、SMBC日興証券株式会社、大和証券株式会社、株式会社千葉銀行、野村證券株式会社、株式会社福岡銀行、みずほ証券株式会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社。機能・環境提供は、日立製作所グループ、一般社団法人全国銀行協会。オブザーバーに、金融庁と日本銀行が参加。

 なお、「FinTech実証実験ハブ」は、フィンテック企業や金融機関などが前例のない実証実験を行う際に抱きがちな躊躇や懸念を払拭するため、金融庁が2017年9月に設置した。実験を通じ、コンプライアンスや監督対応上のリスク、法令解釈に係る実務上の課題などについて、個々の実験ごとに担当チームを金融庁内に組成し継続的な支援を行うというもの。