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IBMが米ドル連動ステーブルコイン「Stronghold USD」を発表

仮想通貨ではなく「デジタル通貨」でブロックチェーン決済を可能に

 米IBMは7月17日(現地時間)、フィンテック企業のStrongholdと協力し、米ドルと連動する新しいステーブルコイン「Stronghold USD」の実験を行っていることを発表した。Stellarのブロックチェーン・プロトコルを使用し、IBMのブロックチェーン決済ソリューションで動作する。

 ステーブルコインの「Stronghold USD」は、一般的な仮想通貨と異なり、交換レートが米ドルと1対1に固定されているため、相場が安定(stable)している点が特徴。このためIBMは、「Stronghold USD」を仮想通貨(cryptocurrency)ではなく「デジタル通貨(digital currency)」という用語を使って区別しているという。

 IBMは以下のような理由から、Bitcoin、Ethereum、Lumensといった既存の一般的な仮想通貨は、決済手段として広く普及するのは難しいかもしれないと考えているという。

  • 為替レートの変動
  • 流動性の問題(おそらく時間の経過とともに消えていくだろう)
  • 匿名ネットワークの安定性、効率性または制御
  • ネットワークのスケーラビリティ(マイニングに依存する公衆ネットワークの弱点)
  • マネーロンダリング防止や本人確認のための規制管理の欠如
  • 従来型金融政策の不在

 特に、仮想通貨の価格が1日で10%や20%、ときには30%もの変動をしてしまう点が、日々の取引を円滑に進める上での最大の障壁の一つとIBMは考えているそうだ。仮想通貨は価値が翌日急に上下する可能性があるので、商売上、支払い手段として用いることが躊躇されているという。

 IBMは「Stronghold USD」が、法規制の遵守、プライバシーやセキュリティーあるいは金融政策を犠牲にすることなく、改善されたリアルタイムの決済インフラとなることを期待しているという。ただし、まだ課題があるため実験期間中、さらに検討を続けるとのこと。

 IBMのプレスリリースはこんな言葉で締めくくられている。“Welcome to the revolution.”(革命へようこそ)