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米国証券取引委員会がICOによるトークンなどデジタル資産証券は有価証券であると表明

新技術にかかわらず有価証券と同等の発行形態のものは連邦証券取引法を遵守すること

 米国証券取引委員会(SEC)は11月16日(現地時間)、「Statement on Digital Asset Securities Issuance and Trading」と題した「デジタル資産証券」の発行および取引に関する公式声明を発表した。近年、証券市場に影響を与えるブロックチェーンやその他の分散型台帳技術について、委員会が連邦証券取引法に基づき規制を執行してきたこれまでの事案を明らかにしている。発表では、ICOによって発行されたトークンを含むデジタル資産証券は米国連邦証券取引法の「有価証券」とし、連邦証券取引所として登録のないものついて、その発行者等を提訴している。

 これまで委員会のコーポレートファイナンス部門、投資管理部門、トレーディングおよびマーケット部門は、投資家と資本市場に利益をもたらす技術革新を促すも、新技術がもたらすさまざまな問題について市場参加者と協議し続けてきた。その結果、デジタル資産証券はブロックチェーンなど新技術によって発行されるか否かにかかわらず、有価証券と同等の機能を有する形態で発行されるものについては、連邦証券取引法の枠組みを遵守しなければならないと結論づけた。

 デジタル資産証券については発行者のみならず、「デジタル資産証券(ICOで発行されたものを含む)の初期提供および販売」「デジタル資産証券に投資する投資ビークルおよびこれらの有価証券への投資について他人に助言する者」「デジタル資産証券の流通市場取引」についても、規制の対象になることも表明している。

 声明では、AirFox社やParagon社など有価証券として登録のないトークンを提供したものに対し委員会は提訴し、両社は実際に罰金を払ったことなど、規制を執行したことについても事案として報告している。

 また、改めて1940年の投資会社法(投資会社法)が、投資対象の証券がデジタル資産証券であっても、プールされた投資ビークルおよびそのサービス・プロバイダーにも適用されることを明らかにし、デジタル資産証券を保有する投資ビークルおよび投資ビークルのマネージャーを含むデジタル資産証券への投資について他人に助言する投資家は、投資会社法および顧問法に基づく登録、規制および信託義務に留意する必要があることも同時に報告している。デジタル資産証券を扱う者が、証券取引所またはブローカーやディーラーなどどのような登録を必要とするかなどについても声明では解説をする。

 委員会では、証券市場におけるイノベーションと有益な技術の適用はあくまでも奨励し、今後も支援していくことも明らかにしている。ただし、新技術を採用する者は、連邦証券取引法の適用に関する法律顧問に相談し、必要に応じて委員会に連絡し支援を受けるなど、正しい対応を求めている。