仮想通貨(暗号資産)ニュース

Chaintope社がLightning Networkで独自トークンを扱うInazmaを開発

混雑なしで大量、高速の決済処理が可能に

 ブロックチェーン基盤技術の研究開発に取り組むスタートアップ企業の株式会社chaintope(以下、Chaintope社)は1月23日、Lightning Network上で独自トークン(カラードコイン)を発行、利用するプラットフォーム「Inazma」を開発すると発表した。独自トークンを発行し、高速な取引をきわめて少額の手数料で実施する使い方が可能となる。2019年上半期に実証実験を開始し、2019年中のサービス実装を目指す。

 応用として、例えば企業ポイントへの適用や、複数のポイントどうしの連携(交換機能など)、電子マネー(円建てデジタル資産の発行と流通)への応用などを想定している。Lightning Networkの技術が成熟すれば、従来型技術のオンプレミスやクラウドのシステムを用いるよりも、より安全で高速なシステム構築基盤に成長する可能性もある。

 Inazmaは、技術的にはLightning Networkの仕様を拡張して独自トークン(カラードコイン)を扱えるようにしたものである。Lightning Network標準仕様のBOLT(Basis of Lightning Technology)を拡張する形とした。カラードコインの仕様としてOpen Assets Protocolを用いる。

 Lightning Networkは、Bitcoinのブロックチェーンの外部に設けたマイクロペイメントチャネルを用いて、ブロックチェーンと同等の安全性を保ちながら高速、高頻度な少額決済を可能とする技術である(関連記事)。ブロックチェーンの1つ上の階層(レイヤー)の技術という意味で「レイヤー2」技術と呼ぶこともある。Bitcoinのブロックチェーンは混雑しており処理能力の余力があまり残っていないという問題があったが、Lightning Networkは制約なしに能力を拡大できる。原理的には集中型の従来型システム(クラウド)よりも高性能なシステム基盤となりうるポテンシャルを持っている。Lightning Networkの現状は実用化へ向けた技術成熟の途中段階にあるが、2018年からメインネットが立ち上がり誰でも試せる状態になっている。

 今回のInazmaの大きなブレイクスルーは、独自トークンをLightning Network上で扱えるようにした点である。今までにブロックチェーンで独自トークンを発行できる方法は多数提案されておりICO(Initial Coin Offering)の新規トークン発行などに用いられてきた。一方、Bitcoinのブロックチェーンは、安全性(攻撃耐性)の観点では数あるパブリックブロックチェーンの中でも最高水準と見なされているが、混雑のため独自トークンのプラットフォームとしては適していないと考えられてきた。Lightning Networkでの独自トークン発行は、Bitcoinの安全性と、目的に応じた独自トークンの高速な決済を両立する手段となるだろう。