仮想通貨(暗号資産)ニュース
金融機関ふくおかFG、地域ポイントシステムでコンソーシアム型ブロックチェーン技術を実稼働
今後は地銀・事業者・地域商店街などを含めた地域連携ポイントを展開する構想も
2019年2月28日 06:35
地域金融機関の株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(ふくおかFG)は、ポイント「myCoin」の基盤として、アクセンチュアのフレームワーク「ブロックチェーン・ハブ」およびブロックチェーン技術Hyperledger Fabricに基づく情報システムを実稼働させた。2018年6月から取り組みを進め(関連記事)、2018年10月から実稼働に入っていることが明らかになった。日本の金融機関がブロックチェーン技術を実稼働させた事例は、公表されている範囲ではおそらく初めてである。今後は、複数の地域ポイントを連携させるシステム基盤としてコンソーシアム型ブロックチェーンのメリットを活用していく。
ポイントシステムmyCoinを運営するiBankマーケティングでは「今のところ大きな問題なく正常稼働している。第1フェーズとしてはうまく行ったと整理している」(iBankマーケティング株式会社 代表取締役 永吉健一氏)としている。
現在では、ふくおかFG傘下の銀行グループのロイヤルティプログラムをポイントサービスに組み込むためのポイント基盤の移行の準備に取り組んでいる。これは「第2フェーズ」と位置づけ、稼働すれば年間数億円規模でポイント発行や交換などを行う予定である。この段階に至ると、コンソーシアム参加企業による公平な情報アクセスや価値移転という形でブロックチェーン技術のメリットが発揮されることになる見込みだ。
日本の金融機関でのブロックチェーン実証(PoC)の取り組みは多数あるが、実稼働に至った事例が公表された例は非常に珍しい。世界的に見ても、金融機関でブロックチェーン技術を実稼働させた事例として最も早い事例の一つといえるだろう。
ふくおかFGの事例の特徴は、法定通貨(日本円)を扱う金融機関の基幹システム(勘定系)ではなく「ポイント」を扱うシステムに適用したことだ。金融機関にとっての「本丸」ではなく、小規模に試せるシステムから新技術を試す形とした。
ふくおかFGでは複数の地銀、事業者、地域商店街などを含めた地域連携ポイントを展開する構想を持っており、そのシステム基盤にブロックチェーン技術を活用していく。そこではコンソーシアム型ブロックチェーン技術のメリットである公平な情報アクセスや、信頼できる価値移転という機能が有効に働く見込みだ。