仮想通貨(暗号資産)ニュース

Crypto Garage、ビットコインのデリバティブ契約システムを開発

スマートコントラクトで契約から決済までをトラストレスで実現

 株式会社デジタルガレージの子会社として、ブロックチェーン金融サービス事業を展開する株式会社Crypto Garageは4月19日、Bitcoin(BTC)決済の仮想通貨デリバティブ取引向けP2Pプロトコルを発表した。従来型の相互信頼に基づくデリバティブ契約に代わり、スマートコントラクトを活用してブロックチェーン上で契約を締結することが可能となる。

 Crypto Garageが発表した「P2P derivatives」は、契約相手方の破綻リスク(カウンターパーティーリスク)の解消とデリバティブ契約にかかるコストの低減というメリットをもたらす。MIT Digital Currency Initiative のThaddeus Dryja にて提案されたDiscreetLog Contractを元にCrypto Garageが独自開発したという。

 従来の仮想通貨デリバティブの契約形態は、金融商品取引業者同様にISDAマスター契約(国際的に最も用いられている基本契約書)に基づいて行われている。契約社間の相互信頼を前提に担保と証拠金のやり取り、決済を行うため、カウンターパーティーリスクが生じる。また、膨大な量の契約書に関する専門知識を有した人材が必要であり、その導入・運用コストは小さくはなかったという。

 「P2P derivatives」は、Bitcoinのブロックチェーン上で稼働するスマートコントラクト。契約当事者の合意と担保物の拠出によって作動する。契約内容と担保物はすべてがブロックチェーン上に記録され、取引の決済が暗号学的に担保される。契約者は互いを信頼する必要がないため、契約の不履行やカウンターパーティーリスクが生じない仕組みとなる。

 契約の満期日におけるBTC価格は、Blockstream社が提供するインターコンチネンタル取引所の暗号通貨データフィード(ICE Cryptocurrency Data Feed)を用いる。データフィードは世界中の仮想通貨の価格情報などを追跡できる。契約者があらかじめデータフィードの利用に合意することで、第三者による価格データの自動配信の下、取引が決済されるという。

「P2P derivatives」のイメージ図(プレスリリースより引用)

 Crypto Garageは、「P2P derivatives」を用いてカナダのブロックチェーン技術開発会社Blockstreamとの間にデリバティブ取引を締結した。Bitcoin価格を事前に固定し、米ドルとBitcoin間の価格変動リスクヘッジを行う。

 Crypto Garageは今後、「P2P derivatives」で対応するデリバティブ契約の種類を拡大する予定だという。また、Blockstream社が提供するサイドチェーン決済ネットワークLiquid Network上のBitcoinに裏付けされたトークン「LBTC」やLiquid Network上に発行されたステーブルコイン、セキュリティー・トークンなどをサポートする予定とのこと。