仮想通貨(暗号資産)ニュース
GMOインターネット、仮想通貨事業の再構築が進み収益性は改善に向かう
2019年12月期第1四半期決算説明会
2019年5月10日 13:31
5月9日、GMOインターネット株式会社は2019年12月期第1四半期の決算説明会を動画配信にて開催した。同社の多岐にわたるインターネット関連事業のなかでも、本誌では仮想通貨事業を中心とした業績概要についてレポートする。
全体業績:売上高468億円・営業利益50億円と増収減益
2019年12月期第1四半期における売上高は468億円と対前年同期比において7.2%増になった。一方、営業利益は50億円と対前年同期比5.1%減、経常利益は同0.9%減、最終利益は同3.0%減となった。セグメントごとの営業利益増減においては、金融と広告メディア事業の落ち込みをインフラと仮想通貨事業が補った形となっている。
前四半期(2018年12月期第4四半期)において、350億円を超える巨額の減損を発表した仮想通貨事業については、売上は12.9億円と対前年同期比で103.7%増、営業損失は2.2億円と対前年同期比で5億円の赤字幅圧縮となった。その要因として、仮想通貨交換事業での取引高の減少に伴う減収がみられたものの、マイニング事業の再構築が進捗したことをあげた。
仮想通貨事業:減損後の再構築が進捗し、利益貢献へ向かう
GMOインターネットグループの仮想通貨事業は、BitcoinやBitcoin Cashのマイニング事業、グループ会社であるGMOコインによる交換事業、そして「GYEN」というステーブルコイン、つまり法定通貨と連動する価格変動が少ない仮想通貨を自ら発行することによる決済事業によって構成されている。
まず、仮想通貨マイニング事業を四半期ごとの業績推移で見ていくと、2018年12月期までは大幅な営業損失の拡大が見られたが、今四半期では減収とはなったものの、大幅な赤字圧縮となった。収益面ではこれまで北欧のデータセンターで運用していたマイニング施設による自社ハッシュレート・採掘量が取引量の減少と従来の拠点からの撤退により低下をしたものの、2018年12月25日に発表した減損処理により、固定費である減価償却負担が大幅に減少したこと、そしてその後に新たなデータセンターが稼働しはじめることで従来よりも安価な(約60%減)電気代で運用をすることができるようになったことにより、赤字が大幅に改善されている。
今後の仮想通貨マイニング事業の見通しについては、新たなデータセンターへの移転作業が完了するには年内いっぱいの時間が必要としつつ、一時的な効率悪化は見込まれるものの、四半期ごとにハッシュレートを増加させながら、現状の496PH(ペタハッシュ)を年度末には1200PHにまで増加させるとしている。
また、減損処理により償却負担のなくなった購入済みマシンを利用することや電気代が従来よりも約60%削減されることなどから、収益性も改善するとしている。仮にグローバルハッシュレートが今の状態を維持したとすると、足元のBitcoinの相場上昇基調と合わせても、今後の収益性は改善が見込まれるとしている。
仮想通貨交換事業については、取引高の減少と取引価格の下落にともない、収益が悪化したものの、ここのところの取引価格の上昇をふまえ、事業環境は好転してきているとしている。今後は、グループ内で行うFX事業のノウハウを生かして、国内シェアの拡大を目指し、さらに決済事業についても、ステーブルコインの発行による収益性を高めていくとしている。
インフラ×金融を中心とする事業を今後も推進
GMOインターネットの事業全体をみると、インターネットインフラ事業が対前年比で43%増という高い成長を続けていて、かねて同社ではこれを「岩盤収益基盤」と呼んでいる事業の基幹となるストック売上である。この事業セグメントが2019年3月末には、ついに1036万件のアクティブな契約数を達成したことも合わせて発表した。
そこでこれを記念して、Bitcoin1000万円分をプレゼントする「ご利用1000万件感謝キャンペーン」を実施することも発表された。
そして、業績説明会の最後に、GMOグループ代表の熊谷正寿氏は自社の事業方針について、かつて交通・海運・鉱山といったインフラ事業と銀行・保険といった金融事業を掛け合わせることで日本を成長させてきた財閥系企業の歴史になぞらえながら、自社もインターネットインフラ事業と金融事業によって今後も拡大を目指すとする意気込みを述べた。