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NEM財団、次期バージョン「カタパルト」でのネームスペース関連新仕様を説明

有効期限の柔軟性が向上。教育機関の学生管理等への適用例を提示

(NEM財団の発表資料より引用)

 NEM.io財団(以下、NEM財団)は5月15日、NEMの次期バージョンであるCatapult(カタパルト)における、既存機能の仕様変更と新機能について説明した。財団は今回、NEMのトークン発行に関連する特徴的な機能である「ネームスペース」「モザイク」と、カタパルトの新機能である「エイリアス」について言及している。

 NEMのバージョン2とされるカタパルトは、2019年秋頃のローンチに向け開発が進められている。追加機能の詳細やロードマップについては記事『NEM次世代版「カタパルト」ローンチは8月〜11月頃、NEM財団がロードマップを公開』にて解説している。

 カタパルトでは、ネームスペースの有効期限について、現行の年間契約制に加えて、ブロック数を基準とした柔軟な契約期間の設定が可能になる。モザイクについては、ネームスペースとのひも付けが解消され、モザイク単独で登録可能となり、モザイクのみの無期限の契約が導入されるとのこと。

 カタパルトの新機能「エイリアス」は、ネームスペースへのアカウントとモザイクのひも付けを行う機能だという。ネームスペースに対してアカウントやモザイクをエイリアスとして登録することで、ネームスペースの貸し出しやネームスペースを跨いだ直接的なモザイクのやり取りが可能になるという。

 NEM財団は、エイリアス機能が想定する実用例を2つ挙げた。1つ目は下図の選挙における利用だ。SantaFrangelina市における選挙で、Gonzales氏とChoi氏という立候補者に対して、住民がモザイクトークンで票を投じ、当選者を決定する仕組みを示している。

エイリアス機能を活用した選挙の仕組み。投票用モザイクをエイリアスにすることで選挙の利便性を向上する

 市は”SantaFrangelina”というネームスペースを発行し、そこにサブネームスペースとして”2019MunicipalMayoralElection”を発行する。続いて立候補者2人の名前を冠した2つの第二サブネームスペースを発行し、それらに各候補者のアドレスをエイリアスとしてひも付ける。

 さらに、3つ目の第2サブネームスペースとして”Vote”を発行し、モザイクをそのエイリアスとしてひも付ける。ここで、住民に対してモザイクを配布すると、モザイクと各立候補者のアドレスがネームスペースを介してひも付けされた形になっているため、住民はそのアドレスに対して直接モザイクを送ることができる。エイリアスの期間を設定することで投票期間を自動的に制限することもでき、立候補者のアドレス内のモザイクを数えることで選挙結果が決定される。

 もう一つの例は、大学における利用だ。下図でKelly氏は”Kelly99”というネームスペースを発行し、自身のアドレスのエイリアスに設定し、個人的な支払いなどに使用している。氏は大学に入学したため、大学側はKelly氏のIDを冠したサブネームスペースを発行した。そして、Kelly氏のアドレスに対して在学期間中有効なエイリアス設定を行った。

エイリアスとネームスペースの有効期限機能を活用した大学用ID発行の仕組み。卒業時にエイリアスかネームスペースを自動的に失効させる

 Kelly氏のアドレスが、大学側の氏のIDに対してエイリアスであるため、大学はKelly氏のアドレスに対してモザイクを直接送ることができる。また、大学はIDの発行時にそのサブネームスペースの有効期限を定めることで、学生の卒業時に自動的にIDが失効するように設定することが可能だ。あるいは、エイリアスのみを自動で失効するように設定すれば、次の新入生にKelly氏のIDを使い回すこともできるという。