仮想通貨(暗号資産)ニュース
イーサリアム、10月16日予定の次期アップデート「イスタンブール」6項目が最終決定
Geth・Pantheonは準備完了。テストネット更新は9月6日以降へ延期
2019年8月26日 14:14
Ethereumは次期ネットワークアップデート「Istanbul」(イスタンブール)を10月16日頃メインネットにて実施予定だ。8月23日までに行われた開発者会議によって、その実装項目6つが確定した。Ethereumの主要なノード運用ソフトウェア6種のうち、GethとPantheonがイスタンブール実装項目への対応を完了している。他4種のソフトウェアも各項目の実装と検証を進行中。実装状況を鑑み、当初9月4日を予定していたテストネットのハードフォークは、9月6日以降へ延期された。ブロック高は依然として未定だ。
テストネットへの実装が遅れる影響で、当初大阪で開催のDevCon5の後という名目で設定された10月16日のメインネットへの実装も延期となる可能性が高まっている。メインネットのハードフォークに関する詳細な時期については、テストネットのハードフォークを実施するブロック高を決定してから確定するとしている。
なお、当初実装予定だった項目の一部はイスタンブールの後のネットワークアップデートで実装することが決定した。当初イスタンブール2と呼ばれたこの更新は「Berlin」(ベルリン、EIP-2070)と命名されている。
イスタンブールのアップデート項目はEIP-1679にまとめられている。8月15日の開発者会議でEIP-1884とEIP-2200の実装が決定。最終的に下記の6項目が採択された。
- EIP-152
EVMへのBLAKE2b Fプリコンパイルの追加 - EIP-1108
alt_bn128プリコンパイルにおけるガス代の削減 - EIP-1344
EVMに現在のチェーンIDを返す命令コード「ChainID」を追加 - EIP-1884
木構造のサイズに基づいたEVM命令コードのガス代調整 - EIP-2028
トランザクションのCalldata内のガス代を1バイトあたり16ガスへ削減 - EIP-2200
EVMのSLOAD命令のガス代変更に伴うSSTORE命令のガス代の再調整
EIP-1283とEIP-1706を統合した代替案
【イスタンブールで実装が確定したアップデート項目】
前回のネットワークアップデート「コンスタンティノープル」では、EIP-1283の脆弱性により当初のアップデート日程が延期。その後EIP-1283は同アップデートでの適用がキャンセルされた。イスタンブールではEIP-1283と同じくEVMのSSTORE命令を改良するEIP-1706を統合し、EIP-2200として実装する。
イスタンブール後半にあたるベルリンでは、下記の8項目の実装が予定されている。
- EIP-663
SWAP命令とDUP命令の深度制限解除 - EIP-1057
合意形成アルゴリズムの「ProgPoW」への移行。セキュリティに関する監査項目が残っているため現在保留中。 - EIP-1380
自己呼び出しのガス代削減 - EIP-1702
同ブロック内で複数のバージョンのEVMを実行可能にするスマートコントラクトのバージョン管理機能 - EIP-1962
楕円曲線の演算とランタイム定義の組み合わせたプリコンパイルの実装
EIP-1109とEIP-1829を統合した代替案 - EIP-1985
特定のEVMパラメータ(ガスリミット、ブロック番号、ブロックタイムスタンプなど)に対する明確な値の制限の導入 - EIP-2045
既存のガスの1万分の1に当たる単位「Particle」(パーティクル)の導入 - EIP-2046
プリコンパイル済みコントラクトのガス代削減
【ベルリンで実装予定のアップデート項目】
ベルリンで実装予定のEIP-1057に含まれるProgPoWアルゴリズムは、第三者機関による監査を実施中だ。最短で9月11日にアルゴリズム自体の監査を終える予定であり、その後ハードウェアベースの監査を行う。当初からProgPoWはイスタンブールから分割され単独での実装も検討されていた。ベルリンの実装時期はProgPoWの監査状況に影響を受けるだろう。