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Facebookの仮想通貨リブラ責任者、現在の決済システムの3つの問題点指摘

「Libraの意義が規制当局に理解されない理由が分かってきた」=デビッド・マーカス氏

(Image: Ascannio / Shutterstock.com)

Facebook(フェイスブック)の仮想通貨Libra(リブラ)プロジェクトを進める子会社Calibra(カリブラ)のデビッド・マーカス(David Marcus)CEOは9月25日、「お金のために新しいプロトコルを構築することが、真のゲームチェンジの唯一の方法である理由」と題した文書を投稿、規制当局との面談の中で指摘された内容について、公に説明した。

リブラプロジェクトは6月の発表後、欧米の規制当局の猛反発に遭い、マーカス氏は米議会の公聴会への出席や、各国の中央銀行担当者との面会など、噴出する「懸念」の払しょくに奔走している。マーカス氏は「ステークホルダーたちとの会談で世界を飛び回る中で、私達が確信しているブロックチェーンから生まれるデジタル通貨の利点、特に金融サービスのアクセス拡大とコスト削減に関して、他の人に納得してもらえない理由が分かってきた。改めて説明を試みたい」とし、これまで繰り返し聞かれた「なぜ伝統的な方法を採用しなかったのか」という質問に対し、以下の3点を挙げた。

既存のマネーネットワークの限界

マーカス氏は、現行の地域間・銀行間決済ネットワークが相互接続されておらず、「早いものは1960年代と70年代に構築され、何度かアップグレードしているうちに、時代遅れで断片化されたインフラになってしまっている」と指摘。既存のネットワークに限界が来ていると主張した。

既存の決済サービス、ウォレットの限界

マーカス氏は、現在流通している決済サービスやウォレットについて、「複数のウォレットや企業のアカウントをまたいだ資産の出し入れができず、サイロ化(孤立化)したシステムになっている」と、利便性の問題を指摘。「Gmail内のメールを、Yahoo!メールにそのまま移せないようなものだ」と例えた。

時間とコストの浪費

マーカス氏は、ある国の個人が特定のウォレット(銀行)を使って別の国の他者に資産を移動するには、現状では複雑で工数がかかるため、工数の数だけ遅延とコストが発生すると主張した。

マーカス氏は、規制当局や政治家が求める「既存のネットワーク上での決済システムの整備」では、資金移動にかかるコストも時間も大きくは短縮できず、現状を解決するイノベーションにはならないと述べる。さらに「リブラネットワークでは世界中のウォレット、ビジネス、サービスが信じられないほど低コストで移動できるようになる。ほぼリアルタイムの決済が行われ、人々はストレスなくお金のやり取りができ、数十億人が世界経済にアクセスできるようになる」と、リブラの目指す世界を再度説明した。

マーカス氏は、「世界中の人々は、もっとふさわしい対応をされるべきであり、今がその時だ」と文書を締めくくり、リブラプロジェクトを推進する強い意志を示した。