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日本仮想通貨ビジネス協会、セキュリティトークン法規制への提言書を発表

ICO・STO検討部会での議論を経た見解

(Image: Shutterstock.com)

日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)は10月2日、国内におけるセキュリティトークン(有価証券)規制のあり方についての提言書を公開した。ICOおよびセキュリティトークンに関するあるべき法規制の姿について、JCBAはICO・STO検討部会を立ち上げ、関係各所と調整を図りセキュリティトークン規制のあり方について検討してきた。

日本は、5月31日に「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、改正法)が成立したことにより、セキュリティトークンのように収益分配を受ける権利が付与されたデジタルトークンに対し、金融商品取引法が適用されることが明確になった。

具体的には「電子記録移転権利」という新たな概念を導入し、投資家を募るセキュリティトークンは、金商法により一律「第一項有価証券」と同様の扱いとなる。しかし、改正法のままでは厳しい規制によりセキュリティトークン市場への参入障壁が著しく高くなることが指摘され、市場がより現実的に利用可能な仕組みとして整備されることが求められている。

これらを踏まえた上で、JCBAはセキュリティトークン規制に関する見解を提言書としてまとめあげた。

提言書では、まず第一項有価証券に該当するセキュリティトークンについて言及する。

先述の通り、電子記録移転権利は第一項有価証券としての取り扱いを受けることになるが、権利内容自体は第二項有価証券と変わらないことから、発行開示義務となる開示内容は原則として、第二項有価証券のうち開示規制の対象となる有価証券投資事業権利等の開示内容と同等とし、これにトークン上に権利が表示されることに伴い必要な開示事項を付け加えたものとすべきであると提言する。

また、電子記録移転権利に係る継続開示義務その他の開示規制についても、有価証券等投資事業権利等の特定有価証券と同様、四半期報告書、確認書、内部統制報告書、自己株券等買付状況報告書、親会社等状況報告書の提出は不要とすべきであるとした。

さらに、第一項有価証券に該当するセキュリティトークンの二次流通市場の整備についても提言をする。

セキュリティトークンは、デジタルによる流通性の高さを理由に第一項有価証券として位置づけられたが、それには制度的に二次流通市場についても整備される必要があるとした。二次流通市場が制度として整備されない場合、適法ではない流通市場が乱立することは確実であり、そのような事態を防止することも考える必要があるとした。

それにはまず、自主規制を含むあらゆる規制や実務慣行のレベルを含め、セキュリティトークンの売買の媒介を第一種金融商品取引業者が行うことができないこととなる規範を設けないこと。また、売買システムを通じたセキュリティトークンの取引を可能とするため、私設取引システムによるセキュリティトークンの取引市場が創設されることを念頭に置いた制度整備を行うことが必須であるとした。

またJCBAは、改正金商法第2条第3項にて定められた電子記録移転権利の適用除外要件「流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合」について、要件に関するより具体的な見解を提言書にて示している。

なお、提言書の詳細については、公開中のPDFファイル「セキュリティトークン規制に関する提言書」を参考にしていただきたい。

JCBAは、この提案書をもって、今後、関係各所と調整を図っていくとした。