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仮想通貨の「暗号資産」改称や規制強化の改正法が成立。改正資金決済法と改正金融商品取引法

参議院本会議における改正法の報告演説全文

(Image: Shutterstock.com)

仮想通貨の「暗号資産」改称や規制強化などを盛り込んだ資金決済法と金融商品取引法の改正法が5月31日、参議院本会議において与党などの賛成多数により可決し、原案通りで成立した。投票総数222のうち賛成206、反対16であった。2020年上旬までに施行の見通し。

本国会(第198回国会)で成立した資金決済法と金融商品取引法の改正法は、正式には「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」として提出されていたものとなる。

法令上の仮想通貨の呼称を「暗号資産」に変更するほかに、暗号資産をコールドウォレットなどで管理することの義務化、収益分配を受ける権利が付与されたICO(Initial Coin Offering)トークン(セキュリティトークン)は金商法対象であることの明確化など、金融庁と有識者がこれまで「仮想通貨交換業等に関する研究会」で討議した結果が盛り込まれている。

なお、成立した改正法には、規制対象の明確化、適切な人員の配備、国際情勢に即した適切な規制の実施、適切な課税方式の検討などを政府に求める15項目の付帯決議が付加されている。

改正法の詳細については記事「日本政府、仮想通貨『暗号資産に呼称変更』や『ICOトークンが金商法対象に』等の改正案を閣議決定」、改正法が国会に提出されてから成立するまでの経過は記事「仮想通貨関連の資金決済法・金商法改正案、賛成多数で衆院審議可決」で、付帯決議の具体的な内容は「衆院通過「仮想通貨関連の法改正案に対する付帯決議案」全文」で取り上げているので、ご参照いただきたい。

参議院本会議における改正法の報告演説全文

財政金融委員長の中西健二氏が参議院本会議で5月31日に行った報告演説の全文は以下の通り。

ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過および結果をご報告申し上げます。
本法律案は近年の情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応し、金融の機能に対する信頼の向上、および利用者保護等を図るため、暗号資産交換業および暗号資産を用いた新たな取引に関する制度の整備、金融機関の業務に顧客に関する情報をその同意を得て第三者に提供する業務等を追加すること等の処置を講じようとするものであります。
委員会におきましては暗号資産を用いた取引に対する規制のあり方、暗号資産に関する問題事案の発生防止策、金融機関による顧客情報の提供業務の課題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によってご承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して大門実紀史氏により本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終了し採決の結果、本法律案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、付帯決議が付されております。
以上、ご報告申し上げます。