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日本仮想通貨ビジネス協会、カストディ業務規制に対する意見書を公表

改正資金決済法で一律に厳格な規制を適用することに異議

(Image: Shutterstock.com)

日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)は10月11日、改正資金決済法に規定する「暗号資産の管理」に係る規制について意見書をまとめ、公表した。カストディ業者による暗号資産管理に対して規制を適用するにあたり、JCBAは関係各所と意見交換を行い、カストディ業務の実態を踏まえながら、利用者保護と健全な市場の発展のバランスが図れるように規制するよう提言する。

日本政府は、5月31日に公布された資金決済に関する法律の改正(改正資金決済法)において、法令上の仮想通貨の呼称を「暗号資産」に変更するほかに、仮想通貨に係る規制強化を盛り込んだ。

日本は、FATF(マネロン対策等を扱う国際会議)が「暗号資産の管理」のみを行うカストディ業者について、各国協調して規制を課すことを求める勧告を採択したことを受け、改正資金決済法では、ウォレットアプリの提供など暗号資産の管理のみを行うカストディ業者について、新たに「暗号資産交換業」として暗号資産の管理に関する規制を適用し、本人確認や資産の分別管理などを義務づけるとした。

しかしながらJCBAは、カストディ業務は多種多様な暗号資産と、それを用いた様々なビジネスモデルが存在することから、一律にカストディ業務を営む事業者に対して厳格な暗号資産交換業の規制を適用することに異議を唱え、カストディ業務の実態を踏まえながら、利用者保護と健全な市場の発展の適切なバランスを図ることが適切であるとし、JCBAの考えを意見書としてまとめた。

JCBAは、改正資金決済法が適用される範囲について、どのような業務内容が暗号資産の管理に該当するかが文言上明確ではないことを指摘する。資金決済法上の「管理」等について特段の定義がないことから、カストディ業務のうち暗号資産の管理に該当する場合と該当しないと場合を例示するなど、まずは「事務ガイドライン」等による明確化を要望する。

また、改正資金決済法に規定する暗号資産を管理する「方法」と当該管理方法の適用から除外される暗号資産の「要件」についても、同様に内閣府令および事務ガイドラインに適切に実態を反映するよう提言する。

取り扱う暗号資産の範囲についても言及する。その範囲は「暗号資産の交換等」と「暗号資産の管理」との業務特性の差異を踏まえて、各範囲に差を設けるべきであるとした。「暗号資産交換業」の登録を受けようとする者は、「取り扱う暗号資産の名称」について登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならないが、取り扱う暗号資産の名称の変更については事後届出とすべきといった見解を述べている。

改正資金決済法において「暗号資産の管理」という行為を、「他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く。)」と規定する中で、他の法律に基づいて行う暗号資産に係るカストディ業務について、利用者資産の管理方法や取り扱い暗号資産の範囲を含め暗号資産交換業に対する規制との整合性をどのように確保するのか明確ではないことも指摘する。他業法に係る監督指針や事務ガイドライン等における一定の整合性確保のための措置を要望する。

そのほかにも、利用者の属性等を勘案した規制の検討や「暗号資産の管理」に適用される規制の明確化など、関係各所との意見交換により挙げられた要望を整理し、カストディ業務における実態を踏まえた意見書として公表した。