仮想通貨(暗号資産)ニュース
PayPal、Facebookの仮想通貨リブラから撤退。直前に中国進出を表明
現時点で中国市場以外を取るよりも中国市場が優先の見方か
2019年10月7日 12:21
PayPalが10月4日、Facebookの仮想通貨リブラ(Libra)運営から離脱を表明した。同日、リブラの運営団体であるリブラ協会の公式サイトから、PayPalのロゴが消えた。直前の1日に、PayPalは中国への進出に関して中国人民銀行から承認を得ている。本件の因果関係は明らかではないものの、中国のCBDCプロジェクトに関して、中国人民銀行はリブラを警戒してきた。
AFP通信の報道によると、PayPalは「現時点ではリブラ協会へのこれ以上の参加を見送る」としながら、「将来的な協業について検討は続けていく」とコメントしたという。リブラは2020年のローンチに向けて協会メンバーを100社にすることを目指しているが、PayPalが脱退したことで現在の加盟企業数は27社となった。近く増員を予定しているという。
PayPalのリブラ協会からの離脱が明らかになる直前の10月1日、同社が中国人民銀行から承認を得て、中国への本格進出を決定したことをテッククランチが報じていた。PayPalは、中国の決済事業者GoPayを買収。同国で初めてオンライン決済サービスを提供する海外プラットフォームになるとのこと。
中国人民銀行はデジタル通貨(CBDC)の発行を検討しており、この計画がリブラをけん制しながら急ピッチで進められていることを報じてきた。現在はプラットフォーマーの選定などを含めたリスク評価等を行う段階にあるというが、CBDCを取り扱う企業の1つとしてPayPalが含まれる可能性も出てきた。
中国は同国内でのFecebookの展開を許可しておらず、リブラに関しても利用させない方針だ。今回のPayPalの動きは、今の時点ではFacebookと組んで中国以外の市場を狙うよりも、中国市場を狙う方が有益だという経営判断を示している。