仮想通貨(暗号資産)ニュース

中国25省・市・自治区・特別行政区が政策にブロックチェーン導入

IT大手のテンセントが白書発表

(Image: Shutterstock.com)

中国最大のメッセージアプリWeChat(微信)を運営するテンセント(騰訊)グループは10月19日、2019年の中国ブロックチェーン業界の現状と展望を分析する「2019年テンセントブロックチェーン白書」を公表した。

リブラ発表以降、関心がさらに上昇

白書は、中国におけるブロックチェーンの発展を概観。2016年12月に政府の5か年計画の文書に「ブロックチェーン」という用語が初めて登場し、以降国や地方がブロックチェーンの関連研究や標準化、産業への活用に取り組むようになったと指摘した。

白書によると、2019年6月時点で中国25省、市、自治区、特別行政区がブロックチェーン関連政策を導入しており、特にFacebookが今年6月に仮想通貨プロジェクトLibra(リブラ)を発表して以降、政府や企業のブロックチェーンへの関心が高まっているという。

業務内容にブロックチェーンを含む企業は2015年までは1000社に満たなかったが、2016年以降ブロックチェーン技術の急速な進展と、概念の普及、仮想通貨市場の盛り上がりなどを背景に、人材が大量に流入。2016年、2017年はいずれもブロックチェーンに関連した業務を行う企業数が250%増加した。

関心が高まるにつれ、投資も増加し、この数年はアーリーステージだけでなく、レイターステージの投資も増えている。

棒グラフが「投資件数」、折れ線グラフが企業数。白書より引用、以下同

特許申請数、3年で80倍に

ブロックチェーン業界の拡大と同時に、特許競争も激化している。研究成果の保護や競争力、ブランド力向上のために、スタートアップ、IT大手を問わず、特許の取得にしのぎを削っている。

2015年に中国で31件だったブロックチェーン関連の特許申請件数は、2016年に430件、2017年に1210件、さらに2018年には2435件に拡大。3年で80倍に増えた。

ブロックチェーンの特許申請数において、中国企業が世界全体に占める比率も、2014年には33.33%だったのが、2018年は82.1%に上昇した。

特許申請件数。折れ線グラフは中国の比率

バブルが去った後が本当のブロックチェーン時代

テンセント研究院の司暁院長は「テンセント研究院は2017年4月、中国のIT大手としては初めてとなるブロックチェーン白書をまとめ、大きな注目を浴びた。それから2年半が経ち、業界環境はバブルから谷底へと大きく変化した。しかし資本バブルが去った後に、本当のブロックチェーン時代が到来すると考えている」と述べた。

テンセントバーチャルバンク・ブロックチェーン部門の責任者である蔡弋戈氏は「テンセントは税務、司法、金融でブロックチェーンの導入を進めて来た。その結果、ブロックチェーンがビジネスの本質的な問題を解決できると自信を持っている。同技術を業務効率の向上に活用するだけでは、本格的な普及には至らない」と語った。