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中国、刑事裁判の証拠保全にブロックチェーンを初導入

被害者多い詐欺事件の証拠紛失防止

(Image: Shutterstock.com)

紹興酒で有名な中国浙江省紹興市の裁判所で、証拠収集にブロックチェーンが初めて使われた刑事事件裁判があり、詐欺罪に問われた被告が懲役1年2か月、4000元の罰金判決を受けていたことが明らかになった。現地裁判所の報告会の内容として、中国のリーガルメディア法制日報が伝えた。

報道によると被告男性は2017年1月から2019年3月にかけ、江蘇省、浙江省、江西省などで、「財布を落として実家に帰れない」などと騙って、判明しているだけでも176件の詐欺をはたらき、9993元(約15万円)をだまし取った。

同案件は被害者が多く、事件発生場所が広範囲にまたがり、しかも1件あたりの被害額が小さい。従来のやり方に則って光ディスクに記録や証拠を保管すると、警察、検察、裁判所の間で大量の光ディスクをやり取りする中で破損や紛失のリスクが大きいだけでなく、中のデータの書き換えも懸念された。

担当裁判所は中国IT大手アリババの金融子会社でブロックチェーン技術を提供するアント・フィナンシャルの協力を受け、証拠データを暗号化。ブロックチェーン上に保全した証拠は捜査から起訴、裁判審理まで採用された。

裁判所の責任者は「ブロックチェーンは改ざんを防ぎ、追跡が可能で、記録を共有できる。ブロックチェーンを活用した証拠の暗号化は2018年に最高裁判所の承認を受け、民事事件の判決では導入されているが、刑事事件で導入されたのは中国で初の事例となる」と紹介した。