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消費者庁、「スマホ錬金術」をうたう情報商材ビジネスに注意喚起

個人ブログを装ったウェブやLINEユーザー宛てのメッセージで儲かると勧誘

(Image: Shutterstock.com)

消費者庁は11月7日、「超簡単『スマホで錬金術』」、「検索=報酬を実現した画期的なシステム」などとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起を行った。消費者庁が調査を行ったところ、株式会社WAVE(以下、WAVE)との取引において、虚偽・誇大な広告・表示および不実告知による消費者の利益を不当に害するおそれのある行為が確認されたという。

消費者庁によると、2019年6月以降、本件に関する相談が各地の消費生活センター等に数多く寄せられているという。仮想通貨とは関係ないが、投資に興味を持つ消費者に向けて広告が表示される可能性もあるため、消費者被害の発生および拡大の防止のために、WAVEの手口やその被害について報告しておきたい。

WAVEの手口は、個人ブログを装ったウェブやLINEユーザー宛てのメッセージで、「スマホ錬金術」と称するビジネスで大金を稼いだとする体験談を掲載させるなどして、誰でも短時間で確実に大金を稼げるビジネスがあると宣伝し、消費者をWAVEの広告サイトに誘導する。広告サイトには、「月収120万円稼げる最新ビジネス」「お好きなタイミングにスマホで30分作業するだけ」「再現性100%結果重視!稼げる事をお約束」といった文言を掲げ、スマホ錬金術の情報を得るためにと消費者にメールアドレスの登録やLINEの友だち登録を促すという。

WAVEは、メールアドレス等の登録をした消費者に対してスマホ錬金術への反響が大きいことを装うメールやLINEのメッセージを送信し、消費者の関心を高める。さらに自社の申込用ウェブサイトへ誘い込み、「スマホ錬金術なら、スマートフォンで検索するだけで誰でも短時間で簡単に大金を稼げる」と繰り返し記載し、興味を持った消費者に申込金として1万円程度の費用を支払わせる。

支払いが完了すると、「スマ錬BOOK」なる情報商材がメールなどで提供され、スマホ錬金術の方法として、インターネット上で国内向けに販売されている商品を、購入せずに、米国の大手通販サイトに利益を乗せて出品し、売れてから商品を購入して転売し、差額で稼ぐ「無在庫販売」であることが明かされる。

さらにWAVEは、売り文句としてスタッフのサポートを強調し、消費者の期待を高める。スマ錬BOOKには、サポートプランとして無料プランのほか、8万円から150万円までの高額な有料プランが紹介されており、無料プランよりも有料プランのほうが大金を稼ぐことができる印象を与え、有料プランへと誘導をする。

また、スマ錬BOOKは、大金を稼ぐ具体的なノウハウには一切触れておらず、「初回のお電話サポートにて簡単なご説明をさせていただきます」と記載されていることから、消費者は巻末の電話予約フォームより電話サポートによる説明を予約することになる。

WAVEは、電話で「40万円のプランに加入すれば、確実に月に27万円稼ぐことができます」「支払ったお金はすぐに取り戻すことができます」などと消費者に告げ、有料プランに加入するよう勧誘する。消費者は、執ような勧誘を受け、高額な料金を支払っても元は取れると思い込まされ、WAVEに料金を支払うことになるという。

しかし、有料プランの料金を支払っても説明されたようなサポートは受けられない。WAVEは「まずは米国の大手通販サイトに出品する前に、日本の大手通販サイトで出品の練習をしましょう。日本で売上げが出るまでは、米国への出品はできません」などと告げる。

消費者はWAVEの指示に従い、日本の大手通販サイトに出品するも、大手通販サイトの出品手数料や自らの利益を上乗せした価格で出品するように指示されるため、商品はほとんど売れない。売れたとしても利益はごくわずか。WAVEからは日本で出品し続けるように言われ、結局は米国の大手通販サイトに出品するためのサポートを受けることはできないという。

スマホ錬金術のうたい文句である、「スマートフォンを操作するだけで誰でも短時間で簡単に大金を稼ぐ」ことは、一切ないのだとか。

消費者庁の調査によると、WAVEは、すでにスマホ錬金術の新規募集を取りやめているが、WAVE以外にも、同様の手口で情報商材の購入などを勧誘する事業者に関する消費者からの相談が数多く寄せられている事実があるという。今後も、WAVEの関係者または別の事業者が、本件と同様の手口で消費者被害を引き起こす可能性があることから、引き続き注意喚起を行っている。