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中国人民銀前総裁「デジタル人民元は中国での流通に焦点」

国際送金には「各国の中央銀行の協調体制必要」

(Image: Nathan Bai / Shutterstock.com)

中国の中央銀行、中国人民銀行の総裁を2003年から2018年まで務めた周小川・中国金融学会会長は、11月7日に北京で開幕した「第10回財新フォーラム」に登壇し、人民銀が開発を進めているデジタル人民元について、「中国での利用に焦点を当てている」と述べた。また、Facebookが計画する仮想通貨Libra(リブラ)について、「民間企業連合であるリブラ協会が、どれだけ公共性をもって運用するのか、個人的に関心がある」と語った。財新など現地メディアが報じた。

デジタル人民元の発行時期を問われた周前総裁は、「自分はもう人民銀の人間ではない」と、回答を避けたが、「5年かそれ以上前、人民元を印刷するメーカーから、紙幣に代えてデジタル通貨の発行を提言された。その時はブロックチェーンや分散型台帳システムに踏み込んで議論しなかったが、研究を始める契機になった。それから随分時間が経ち、かなりのアイデアがある」と述べた。

デジタル人民元の役割としては、「本国に焦点を当て、銀行間、サードパーティーの決済企業間にデジタル通貨を流通させることに重点を置いている。小売りサービスの決済にも使えるだろうが、既存の金融システムを圧迫しないよう、非常に慎重に考えている」とした。

国際送金や海外投資などに使うためには、より多くの準備が必要になるとし、「そういうものは、一つの中央銀行だけで管轄できるものではない。連合システムが必要だろう」と、デジタル通貨時代には、中央銀行の協調体制が必要になるとの考えを示した。

「デジタル通貨はまだ発展途上」

リブラが刺激する形で、中国をはじめとする複数の国がデジタル通貨の研究を進めていることに、周前総裁は「中国では民間の決済が大きな役割を果たし、急成長しているが、それは電子決済にとどまり、ブロックチェーン技術に基づくデジタル通貨ではない。世界をみてもデジタル通貨分野で特筆すべき発展はなく、リブラがホワイトペーパーでコンセプトを明らかにした程度だ。サービスが始まってもいない」と、まだ成長途上にあるとの考えを示した。

リブラについては、「個人的に気になっていることはいくつかある。リブラを裏付ける準備金の金額をどう確定するのか、預かった法定通貨が本当に準備金として使われるのか、そして、民間企業の連合体であるリブラ協会は、公共性がどのくらいあるのか。リブラの運用によって利益を得ようと考えているのかいないのか、興味がある」と語った。