仮想通貨(暗号資産)ニュース

「試験に出るから覚えなさい」中国人民銀が作った仮想通貨禁止啓発パンフレット

味わい深い大衆向け啓発用冊子を作成、取引の取り締まりを強化

11月22日に仮想通貨取引の取り締まり強化方針を公表した中国人民銀行上海本部が、今度は大衆向けの啓発用冊子を作成した。

「ブロックチェーンの発展は仮想通貨への投機と似て非なるものなり」というタイトルの資料は、デザインや内容を工夫し、読者として特に若年者を想定しているとみられる。

冊子は大学生らしい3人の会話で始まる。

男A:「習おじさん(習近平国家主席)がブロックチェーンを活用して産業イノベーションを発展を起こすと言って、最近ブロックチェーンがバズってるよね」

女:「ブロックチェーンって何なの? 真珠? 翡翠? それとも黄金みたいなもの? 頭につけるの? 手につけるの? それとも首にかけるのかしら」

本当にこんな人がいるとは思えないが、“にわか”“素人”を強調したいのだろう。

男B:「ブロックチェーンはビットコインみたいな仮想通貨さ!」

その言葉に男女が、なぞのぶりっ子ポーズで反応する。

男A:「習おじさんさえ、発展を支援するってことは仮想通貨は、爆上げ間違いなしだね」

女:「そしたら上げ余地は無限大だね。瞬きしてる間に2倍になるんじゃない?」

男B:「急いで買わないと。みんなで一緒に買おう!」

とそこへ、スーツ姿の分別がありそうな男女が登場し、「ブロックチェーンは仮想通貨ではないよ」と、ブロックチェーンについて「安全」「改ざん不能」「データの透明性保証」などと特徴を説明し、ICOとブロックチェーンの違いも解説する。

スーツ姿の2人はさらに

「仮想通貨は当局が発行したものでなく、法的な根拠がないから、貨幣として市場で流通も使用もできませんよ」

「(仮想通貨の取引禁止を定めた)2017年9月4日の中央人民銀行の文書をチェックしなさい」と畳みかける。

買おうと盛り上がってた若者たちが、「僕の欠点はすぐに盛り上がりすぎることだよ」とつぶやくと、スーツ2人は勢いづいて、「試験に出るから、マークしときなさい」と要点を繰り返す。

「仮想通貨の取引は禁止」

「仮想通貨の発行や資金調達は違法!」

最後に皆で、振り返りをして終わりとなる。

日本の大学が新入生に配る「あやしい宗教に注意」、警察が高齢者に配布する「振り込め詐欺に注意」的なパンフレットを彷彿とさせるが、それだけ仮想通貨への関心が高まっており、当局が“不穏なものが蔓延”していると受け取っているということだろう。