仮想通貨(暗号資産)ニュース

欧州中央銀行、デジタルユーロにR3 Cordaを採用し実証実験を実施

デジタル通貨が利用者のプライバシー保護とマネロン対策を両立できると確認

(Image: Shutterstock.com)

ユーロを発行する欧州連合の中央銀行である欧州中央銀行は12月17日、ユーロのデジタル化に向けた実証実験の経過を報告した。今回の実験で、同行はR3社のブロックチェーン技術Cordaを活用した「EUROChain」(ユーロチェーン)を採用。利用者のプライバシー保護とマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)に焦点を当てた実験で、一定の成果が得られたと述べている。

欧州中央銀行はEU公認の中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)として、ユーロのデジタル化を進めている。今回の実験は、商用版のプロトタイプ開発に着手する前段階となる。前述のプライバシー保護とAML/CFTのみを検討対象としており、スケーラビリティや既存システムとの相互運用性などは考慮していないとのこと。

実証実験で用いたユーロチェーンは、欧州中央銀行主導のもと、R3社とアクセンチュアが開発に協力する研究用のブロックチェーンネットワークだ。少額のトランザクションに対して、利用者のプライバシーを保護しながら、高額のトランザクションに対しては、専門機関を通じた追加のAML/CFTチェックを自動的に行えるという。

通常、ブロックチェーンの状態を観察すればトランザクションに関連するCBDCの履歴などは分析できてしまうため、プライバシーの懸念がある。ユーロチェーンは、チェーンスニッピングという方式で、CBDCの履歴データなどを利用者側から見えないように隠す機能を備える。一方で中央銀行側からは全データが見える状態であり、プライバシーの保護とAML/CFTの両立が可能だという。