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富士通、ブロックチェーン活用で電力消費者間で余剰電力を直接取引するシステムを開発

電力融通システムの「デマンドレスポンス」を従来比4割改善の実験結果

従来システムと新システムのデマンドレスポンス比較図(プレスリリースより引用、以下同)

 富士通株式会社と株式会社富士通研究所は1月30日、ブロックチェーン技術を応用し、電力の需要家(工場や店舗などの電力の使用者)間で不足・余剰電力を取引するシステムを発表した。本システムは、近年取り組みが進む電力会社と需要家が協力し電力使用量を調整・制御するデマンドレスポンス(DR)において需要家が対応しきれていないという課題を解決し、電力融通の成功率を改善するという。シミュレーションでは、DR成功率(要請された節電量を達成し報酬を受け取れた割合)が約4割向上する結果が得られたとしている。

 DRの仕組みでは、電力消費のピークと予想される時間帯に仲介者(アグリゲーター)が需要家に対して節電要請を行い、要請された量の節電を実施した需要家に対価を支払う方法が考えられるが、現在のシステムは、アグリゲーターと需要家が1対1でやりとりを行って節電の達成可否を判断しており、時間猶予的に節電要請に応えるのが困難だという。

ブロックチェーンを活用した需要家間の電力取引システムの概略図

 今回富士通が開発した新システムでは、アグリゲーターと契約した需要家間で余剰電力を取引することで、相互に融通しあうことが可能となる。ブロックチェーンを活用して需要家が持つ余剰電力量を確認し、余剰電力と不足電力をそれぞれ売り要求と買い要求とみなしてマッチングを行うことで、節電要請に迅速に応じることができるという。

 富士通は株式会社エナリスと協力し、本システムを活用したDRのシミュレーションを実施した。その結果、DR成功率が約4割向上したという。DRの成功率を高めることは、需要家がDRに参加した場合の投資効果を確保し、参加者の増加につながる。DRが大規模化すれば安定した電力供給と再生可能エネルギーの導入拡大が実現するため、脱炭素社会に向けて、本システムのさらなる検証を進めていくとしている。