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ブロックチェーンで管理・生産した国産有機ワイン、パリで「エシカル消費」実証実験

電通とシビラがDAppsを使い、SDGsの17ゴールに関連付け消費行動を可視化

ブロックチェーンにより保証された香月ワインズの有機ワイン

 株式会社電通国際情報サービス(ISID)のオープンイノベーションラボ(イノラボ)とシビラ株式会社、仏バルドワーズ県経済開発委員会(CEEVO)の3者は4月24日、ブロックチェーン技術による「エシカル消費」に関する実証実験をフランスで実施すると発表した。5月8日から10日までの3日間、フランス・パリ市のレストラン「ゼブラ」にて行われる。

 実証実験では、ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ・システムにより管理・生産された日本の有機ワインをパリへ空輸し、新しい価値基準に基づく経済圏の実現可能性を探る。国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の国際目標、持続可能な世界を実現するための17のゴールに関連付けて実施される。

 イノラボとシビラはこれまで宮崎県綾町と共同で、ブロックチェーンを活用して有機農産物の生産・流通履歴を記録・可視化するトレーサビリティ・システムの構築に取り組んできた。

 今回の実験では、完全無農薬・植物性堆肥にこだわったワイナリーを営む宮崎県綾町の香月ワインズが全面的に協力。土作りからブドウの作付け・収穫・醸造・加工・出荷・輸送までの履歴をブロックチェーンで記録した50本の香月ワインをパリへと空輸する。

 フランスの一流レストラン「ゼブラ」では実証実験の期間中、SDGsの17ゴールにちなんで擬人化した17種類のNFC対応ハードウェアウォレットと、エシカル消費履歴を可視化するDAppsを用意する。来店客は、ゲーム感覚の演出を通じて香月ワインを注文することで、ゴール13(気候変動)やゴール15(陸の生物多様性)などに貢献できることをひと目で理解し、注文によるエシカルな貢献を証明するトークンが取得できるそうだ。

SDGs17ゴールに関連付けられたNFC対応ハードウェアウォレットと個人のエシカル消費履歴を可視化したDApps画面イメージ

フランスのエシカルな価値観と新しいユーザー体験

 エシカル(倫理的)な消費とは、環境や人体への負荷、社会への貢献などを重視して生産された商品やサービスを選択し消費する行動や理念を指す。環境に対する意識や弱者への配慮が文化的に根付くフランスやイギリスでは、「他者のための消費」「未来のための消費」という価値観のもと消費を行う「エシカルコンシューマー」と呼ばれる消費者コミュニティが形成されている。

 世界一のワイン大国フランスでは、古くから有機ワインの生産も盛んだという。こうした中で、ワイン作りにこだわる香月ワインズの生産哲学を、ブロックチェーン技術を使って分かりやすく訴求し、注文行動につなげることができるか、さらにその行動が注文客自身の評価に還元されるという新しいユーザー体験を創出できるかを目指し、実験が実施されるという。

 フランスの食文化に関する知見提供やICTを用いた実験デザインの店舗適用に関しては、CEEVOのほか「Master Chef of French Cuisine」(フランス料理マスターシェフ)称号を有する仏フェランディ調理学校のジョエル・ボワロー副学長らが協力する。