仮想通貨(暗号資産)ニュース
消費者庁、令和元年版消費者白書を公開。新型ビジネスにおける消費者保護の懸念
仮想通貨関連の消費者トラブルは事業者の対応を中心に2014年から増加の一途
2019年6月19日 12:42
消費者庁は6月18日、令和元年版消費者白書を公開した。消費者庁および消費者委員会は設立10年を迎える。同書では10年間の消費者政策の変遷をまとめ、昨今相談件数が増加している新技術を活用した新たなビジネスモデルへの対応など今後の展望が示された。
本稿では、白書にまとめられた仮想通貨関連で消費者庁が過去に実施した注意喚起や概況について紹介する。また、新技術による新たなビジネスについて、特にプラットフォームビジネスに関する消費者保護の懸念について取り上げる。
過去実施してきた仮想通貨関連の施策
仮想通貨関連のトラブルは2014年から消費者庁に相談が寄せられはじめ、年々増加してきたという。2017年に相談件数は爆発的に増加。2018年に入ってさらに1.7倍増加した。消費者庁に寄せられる仮想通貨関連の相談内容として、暗号資産(仮想通貨)交換業者の信用性やトラブルの有無に関するもの、解約・返金に関するもの、システムやセキュリティに関するもの、ログインできない、入金が反映されない、業者から返答がないなど、事業者の対応に関するものが主だという。
2017年4月に実施された資金決済法等の一部改正以来、消費者庁、金融庁、警察庁は連携して消費者に対して注意喚起を行っている。2018年10月には詐欺的案件の増加から、主な相談事例などをまとめ、注意喚起文を更新した。また、2018年4月には消費者庁所管の国民生活センターから、仮想通貨をめぐる投資詐欺に関する注意喚起を行った。
新技術を活用した新たなビジネスモデルへの対応
情報通信技術の高度化によって、電子マネーやスマートフォン決済、仮想通貨などが普及。決済のキャッシュレス化が進められている。こうした技術の発展を背景にプラットフォーム(PF)ビジネスが活気づいている。消費者庁では、PFを利用しインターネットを通じた商品・サービス等の購入に関して質問や相談が増加したことを受け、調査を実施した。
調査の結果、PFビジネスが消費者にもたらす利便性が認められる。一方、現行の業法規制がPFビジネスに対して適当であるか議論の必要があるとした。PF事業者が集積する顧客データは、ビッグデータとして経済的価値を持つ。その取扱いや、プロファイリング手法によっては消費者の人格的利益を損なう、あるいは消費者が経済的不利益を被る可能性があるという。消費者庁は、この新たなビジネスモデルに対して、消費者に対する啓発をはじめ、消費者政策としての施策展開を図っていくとのこと。