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ブロックチェーン・プロジェクトの落とし穴と回避策=ガートナー発表

データベースにはない特性を持つが逆に使えない機能もある

(Image: Shutterstock.com)

ガートナージャパン株式会社は6月25日、ブロックチェーン・プロジェクトで回避すべき落とし穴とその回避策を発表した。ブロックチェーンの性能を過大評価することや、成熟した技術として運用してしまうことなどを問題点として挙げ、未成熟な技術に対する正しい理解を促す。同発表は、米ガートナーが6月12日に公開した内容を国内向けに編集・和訳したものとのこと。

ガートナーが各企業のCIO(最高情報責任者)を対象に実施した調査では、ブロックチェーンを導入済み、または近く導入予定と回答した企業はわずか11%にとどまった。この原因として、プロジェクトの大半が初期の実験段階より先に進めていないことを挙げている。プロジェクトを成功させるには、失敗の根本原因を理解する必要がある。

今回の分析はガートナーのアナリストでシニアディレクターのエイドリアン・リオ(Adrian Leow)氏が行った。同文書は、各種の実証実験などで語られた失敗談を、数分で読めるテキストとしてまとめたようなもの。これからブロックチェーン・プロジェクトに取り組む際など、検討に取りかかる前にチーム内で共有するべき資料と言える。本稿では7項目すべてではなく、特徴的な3項目を抜粋して紹介する。残り4項目にも興味がある人は、ガートナーの発表資料「ブロックチェーン・プロジェクトで回避すべき7つの落とし穴を発表」を参照されたい。

ブロックチェーン技術の誤用

ブロックチェーン・プロジェクトの大半が、分散型台帳(DLT)を介してブロックチェーンにデータを記録するためだけに使用されているという。非中央集権型の合意形成、トークン化、スマート・コントラクトといった、ブロックチェーンの主要機能が見過ごされているということだ。

こうした背景から、「そもそもブロックチェーンは必要なのか」という疑問が生じる。リオ氏は「CIOが優先すべき課題は、ブロックチェーンの特性を活用したユースケースを明確にし、まだ使用していないブロックチェーンの特徴も生かせるプロジェクトに移行すること」とコメントしている。

本番環境向けに準備が整っているわけではない

巨大なブロックチェーン・プラットフォーム市場の大部分は、機密保持やトークン化といった機能面での差別化に焦点を当てている。プラットフォームに必要なシステムやセキュリティ、ネットワーク管理サービスは、大規模な本番環境に適用するには未成熟なものがほとんどだという。

しかし、この点に関しては数年以内に状況が変わると予想されている。CIOはブロックチェーンの進化を見守り、それに応じてプロジェクトのスケジュールを調整すればよいとのこと。

データベースやストレージと同列に扱ってしまう

ブロックチェーンは、信頼性の不確かな参加者による自由なやりとりを可能にすべく、変更不可能で信頼できる確かな記録が保持されるように設計されている。一方、従来のデータベースには備わっている複数の機能を備えていない。従来のデータベースは「作成」「読み取り」「更新」「削除」の機能を有する。このうち、ブロックチェーンが扱えるのは「作成」「読み取り」だけだ。このため、従来のデータベースを使う方が適する用途もある。既存技術の選択肢を捨ててはいけないということだ。