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仮想通貨トロン騙った詐欺で数十万人被害。被害額160億円、自殺者も

「5億円で落札したバフェット氏との昼食会キャンセル」報道の打ち消しも

(Image: Shutterstock.com)

著名投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏との昼食会の権利を460万ドル(約5億円)で落札したジャスティン・サン(Justin Sun)氏が運営する仮想通貨TRON(トロン)が8日、「警察の手入れが入った」との噂をきっかけに、大きく値を下げた。トロンは同日夜、「警察は自分たちが呼んだ」と事情を説明するコメントを出したが、価格はなお回復していない。サン氏は数日前にも、「バフェット氏との昼食がキャンセルになった」とのフェイクニュースが出回るなど、トラブルに見舞われている。

投資家たちが「金返せ」とオフィスに殺到

7月8日午後、北京にあるトロンの関連会社「鋭波科技」に投資家たちが押しかけて騒ぐ動画がSNSのウェイボ(微博、weibo)などで拡散した。動画や目撃者の情報によると、全国から集まった投資家たちは「金を返せ、金を返せ!」と叫びながら、警備を破ってオフィスに突入した。

その後警察が出動する騒ぎになり、月末に表面化した仮想通貨投資プラットフォーム「Wave Field Super Community」による詐欺事件との関連を疑われたトロンの価格は急落した。

「トロンを割安に購入できる」詐欺

投資アプリのWave Field Super Communityは2019年1月にサービスを開始。同サービスの中国名は「波場超級社区」で、トロン(中国名は「波場」)との密接な関係をアピールし、ユーザーに対し「市場相場より安くトロンを購入できる」と売り込んでいた。

Wave Field Super Communityユーザーの中には、ジャスティン・サン氏に同プロジェクトとトロンの関係を直接尋ねる者もいたが、サン氏は回答を避けていた。

現地の報道によると6月30日午前10時、Wave Field Super Communityのアプリが突然閉鎖され、既に運営会社とは連絡がつかなくなっていた。ユーザーが資産を引き出すこともできなくなっており、その後、ウォレットの資産は2週間前に全て別の場所に移されていたことも判明した。

複数のメディアによると、Wave Field Super Communityの被害者は数十万人、被害額は10億元(約160億円)に上る見通し。

46歳被害者女性の遺書が出回る

サン氏は事件が表面化した翌日の7月1日、ウェイボで「トロンを騙った詐欺」への注意を呼び掛けていたが、Wave Field Super Communityには言及しなかった。

その後、Wave Field Super Communityに多額の資産を投資し、被害を苦に自殺した46歳の女性の遺書がSNSなどに投稿され、投資家の怒りが沸騰。8日にサン氏が経営するトロン関連会社のオフィスに押しかけ、資金の返還やトロンとの関係の説明を迫る事態となった。

「被害者には同情するが、暴力は許されない」

トロンは8日夜、経緯を説明する文章を発表。トロンと北京の関連会社が通常通り運営されていることを強調し、Wave Field Super Communityに対しても連絡を試み、注意をし続けてきたと説明した。

また、トロンによると8日に警察が出動したのは、投資家たちの暴力からオフィスを守るために自ら通報したためで、今後は詐欺事件の解決に向け、協力していくという。

トロンは騒動に対し「詐欺被害に遭った人たちに深く同情するが、暴力は許されない」とコメントした。

「バフェット氏とのランチも中止」と報道

ジャスティン・サン氏は7月に入って、トラブルに見舞われ続けている。月初には仮想通貨メディア「coinjazeera」が、「サン氏とバフェット氏の昼食がキャンセルされた」と報道。瞬く間に拡散し、サン氏は8日に「フェイクニュースだ。昼食会は7月25日に予定通り行われる」と打ち消しに追われた。