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スイス当局、発足17か月のフィンテック企業に銀行業と証券業免許を付与

100億円超を資金調達のSEBA「デジタル資産と従来型資産の橋渡し役目指す」

SEBAが本拠を構えるスイス・ツークの町並み(Image: Shutterstock.com)

スイスのフィンテック企業SEBAは8月26日、スイスの金融規制当局であるスイス連邦金融市場監督機構(FINMA)より、銀行業および証券業のライセンスを得たことを発表した。SEBAはブロックチェーン技術を用い、デジタル資産に主眼を置く金融サービスプロバイダー。スイス当局の認可により、同社は従来型資産市場とデジタル資産市場の橋渡し役を務めることが可能となった。当初から計画していた、「ワンストップのバンキングソリューション」を提供する条件が整ったという。

正式な銀行業務の開始は2019年10月初旬以降となる。同社は2019年2月に、スイスの富裕層向けプライベートバンクJulius Bär(ジュリアスベア)との業務提携を発表。SEBAが銀行業および証券業のライセンスを取得した時点から契約は有効とされている。ジュリアスベアは今後、同行の顧客に対し、SEBAが持つ規制された安全なデジタル資産のサービスを提供するとのこと。

SEBAは、2018年4月に発足したフィンテック分野のスタートアップ企業。同社の目標は2つ。ブロックチェーン技術を基盤としたデジタル資産と従来型資産について、その投資・保管・取引・借入を一元的に行える機関としての成立を目指す。そして、スイスのブロックチェーン企業向けにデジタル資産の口座と管理を提供することで、そのエコシステムにおける安全性の水準を引き上げることだ。

SEBAは2018年9月に、1億スイスフラン(107億円相当)の資金調達を行った。同年10月に銀行業ライセンスをFINMAへ申請。約1年を経て今回の銀行業・証券業の認可に至った。発足からわずか17か月後のことだ。そのチームは、テクノロジー、情報セキュリティ、ブロックチェーン、ファイナンスの各分野の専門家からなる60人体制で運営されているという。

SEBAは今後、銀行、企業、機関投資家に対して、従来資産とデジタル資産の投資・資産管理・売買・融資を一元的に行えるサービスの提供を目指す。将来的には、カストディストレージ、トレーディング、流動性管理も提供していくという。さらにブロックチェーン企業として、不換資産やデジタル資産の口座や保管機能を提供するとしている。