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欧州中銀幹部「EU市民はFacebookの口約束になびかないで」

仮想通貨リブラに「極度」の懸念表明

(Image: Shutterstock.com)

欧州中央銀行(ECB)のイブ・メルシュ(Yves Mersch)専務理事は9月2日、Facebookが2020年前半に発行を計画する仮想通貨Libra(リブラ)について、「ECBの金融政策能力を弱めるものだ。Facebookが主張していることをうのみにすべきではない」と述べた。ロイター通信が伝えた。

メルシュ氏は「リブラは将来的に、ECBのユーロに対するコントロール能力を弱める。また、ユーロ圏の銀行の流動性に影響を与え、金融政策の伝達メカニズムに損害をもたらす」と語った。

メルシュ氏は、リブラが中央銀行に裏付けられない一方、株主に対して責任を負うシステムであることに、「極度の懸念」を表明。リブラの中央集権的な管理には信用の問題が存在すると強調した。

メルシュ氏はEUの当局がリブラを管轄化に置くべきだと主張すると同時に、世界で協力し、リスクを軽減するべきだと訴え、「既存の決済ソリューションの安全性や安定性を捨てて、Facebookの口先の約束になびかないことを、EUの市民に心から望む」と求めた。

ECBの作業部会は7月、リブラを念頭に「ステーブルコインは最高の規制基準を満たし、慎重な監督と監視の対象となることによって国民の信頼を確保するべき」などの提言を盛り込んだ報告書を作成。ECBのドラギ総裁は、同月中旬に行われた主要7カ国(G7)の財務相・中銀総裁会議で、同報告書をもとにリブラを巡ってさまざまな議論が交わされ、「多くの懸念が表明された」と語っている。