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NBA「バスケット選手のプロ契約を用いたSTO実施は認めない」

スペンサー・ディンウィディー選手のトークン発行計画は契約違反と主張

(Image: Shutterstock.com)

全米バスケットボール協会(NBA)は9月27日、スペンサー・ディンウィディー(Spencer Dinwiddie)選手が計画するプロ契約のトークン化について、許可しない方針を明らかにした。ニューヨークタイムズの報道によると、ディンウィディー氏が計画するSTOは、NBA団体交渉協約(CBA)に抵触するという。ディンウィディー氏は「契約上問題がないことを(NBAに)確認したはずだ」とし、今後さらに協議を行っていく姿勢を示している。

NBAブルックリン・ネッツ所属のプロバスケットボール選手であるディンウィディー氏は、自身が経営するDREAM Fan Shares社を通じて、NBAでの3年間のプロ契約をトークン化し、投資家に販売することを計画。つまりは、自身のプロ契約を対象にしたセキュリティトークンオファリング(STO)の実施である。氏の計画について、9月初旬から複数のメディアが報じていた。

ディンウィディー氏のブルックリン・ネッツとの契約金は、3年間で計3440万ドルだが、一括では支払われない。電子化し投資家へ販売することで、氏はより早く対価を受け取ることができる。一方、投資家はディンウィディー氏の2020年以降のNBAでの活躍次第で、トークンの価値が上下する可能性がある。成立すれば、スポーツ選手によるプロ契約のトークン化は世界初となる。

NBAは、トークンにより契約内容を分割し不特定の投資家に販売することは明確に契約違反に当たると主張した。NBAと、その選手労働組合であるNBPAの団体交渉協約(CBA)には、「選手はそれぞれのチームとの契約について、第三者に収益を再配分、または譲渡することを禁ずる」と定められている。NBAは、ディンウィディー氏のSTOがCBAに反するのは明白だとしている。

ニューヨークタイムズの報道を受けたディンウィディー氏は、「STO計画がCBAに反しないことはチームを通じてNBAに確認したはずだ」と主張。今後は氏が経営する法人の法務部と協力し、NBAと協議を進めていく姿勢を示した。

ブルックリン・ネッツのポイントガードとして活用するディンウィディー氏は、Bitcoinなど仮想通貨に対して非常に積極的なアスリートの1人として知られる。27日にはTRONのジャスティン・サン氏と協力して、チャリティー事業の実施を発表。試合に使用したシューズを0.1BTCで販売し、その売り上げ金となる8.2BTCを全額慈善事業に寄付することを明らかにしている。