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「リブラと中央銀行のデジタル通貨は共存できる」Facebookの仮想通貨エコノミスト

JPモルガンは「米ドルがデジタル化したらJPMコインは撤退」と対照的

(Image: Ascannio / Shutterstock.com)

Facebook(フェイスブック)の金融子会社Calibra(カリブラ)のヘッドエコノミストで、仮想通貨「Libra(リブラプロジェクト)」を主導するクリスチャン・カタリーニ(Christian Catalini)氏は11月12日、シンガポールのフィンテックイベントに登壇し、「リブラと中央銀行のデジタル通貨は共存できる」との考えを示した。一方、同じイベントに登壇していたJPモルガンのブロックチェーン事業を統括するウマール・ファルーク(Umar Farooq)氏は対照的に、「連邦準備制度(FRB)がデジタル通貨を発行したら、当社はデジタル通貨から撤退するかもしれない」と語った。シンガポールメディアのThe Business Timesが伝えた。

カタリーニ氏は、「いくつかの中央銀行がいずれデジタル通貨を発行することは、リブラを計画する当初から想定しており、その未来を見据えて有用なものにしたいと思っていた」と述べた。とは言え、現時点で中央銀行がデジタル通貨を発行した事例はなく、研究する対象がないことが課題だったとも話した。

現実には、リブラに代表されるステーブルコインは、中央銀行や規制当局から強く警戒され、中央銀行がデジタル通貨開発に乗り出すきっかけにもなっている。

だが、カタリーニ氏は、「中央銀行の通貨に裏付けられて運営されるリブラは、各国の金融政策を補完する存在になる」と強調。リブラは中央銀行のデジタル通貨に、より速く低コストの決済システムを提供するとした。中央銀行のデジタル通貨発行を理由にリブラを放棄することは「理にかなっていない」と述べた。

一方、JPモルガンのファルーク氏は、「FRBが独自のデジタル通貨をローンチするなら、JPモルガンコインは撤退するかもしれない」と述べ、「中央政府はデジタル通貨を発行することで、世界の商業銀行システムをリスクにさらすことがないよう、うまく設計する必要がある」と警告した。

JPモルガンは、機関投資家の口座間で即時の支払いを可能にするドル建てのステーブルコイン「JPMコイン」を開発している。