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ナイキなどの製品22万個の流通をブロックチェーンで可視化に成功

米オーバーン大学がHyperledger活用のサプライチェーン実験結果を報告

米オーバーン大学RFIDラボは3月11日、Hyperledgerエコシステムで取り組んだサプライチェーンの実証実験について、研究成果を報告した。スポーツ用品メーカーのナイキ(NIKE)や衣料品メーカーのハーマン・ケイ(Herman Kay)などが協力した実験で、約22万3000個の商品の流通情報をブロックチェーンに記録し、入出荷の時系列などを特定できたという。

昨今、大手メーカーでは製品のタグに二次元コードやRFIDと呼ばれる小型ICチップを埋め込むことで、製品を別個のものとして扱い、流通経路の一部追跡を可能としている企業も少なくない。同学によると、RFIDタグを付与された製品は現在140億個以上が流通しているという。

現行の製品タグによる製品のアイデンティティ化では、配送業者などを含めたサプライチェーン全体での規格化がなされていない。メーカーや小売店は自社が関わる一部の流通情報しか保有できておらず、消費者は手元に届く製品について、販売会社から手元に届くまでの移動経路程度しか分からないのだ。消費者に対して、商品の流通経路のすべてを説明することが誰にもできないという課題がある。

そこで、RFIDとHyperledger Fabricのブロックチェーンによるサプライチェーン全体の透明化を目指し、オーバーン大学は2018年2月からワーキンググループを発足。Hyperledgerエコシステムの23社と共に研究を進めている。

オーバーン大学のブロックチェーンワークグループ「CHIP」

今回はそのワーキンググループで実施した実証実験の結果が報告された。実験ではまず、ナイキ、PVH、ハーマン・ケイの3社のメーカーのRFID付与済み製品について、RFIDとブロックチェーンのひも付けを行った。RFIDシステムが出荷を検知する都度、ブロックチェーンへトランザクションとして書き込みを行うシステムを構築した。製造拠点から流通センター区間での記録を行ったナイキでは、約14万8000個の流通がブロックチェーンに記録されたという。

同様に、小売店のメイシーズ(Macy’s)、コールズ(KOHL’s)はそれぞれのパートナーであるハーマン・ケイ、PVHからの流通をブロックチェーンに記録した。これら小売店は各パートナー以外にも多数のブランドを取り扱う。そのため、他メーカーの製品も加えて入荷システムはそれぞれ33万7000個と85000個のRFIDを記録。そのうち、メイシーズは約2100個、コールズは約3800個をそれぞれのパートナーから入荷した商品としてブロックチェーンに書き込んだ。

実証実験で記録されたRFIDとブロックチェーンへの書き込み件数

実験で記録されたRFIDは総計63万9283個、そのうちブロックチェーンに書き込まれたのは22万3036個だった。流通の記録が完了した後にブロックチェーンに書き込まれたデータを分析。それぞれの経路において、最初に入荷を完了した商品が何であるかを特定することができたという。

実験を経てオーバーン大学RFIDラボのアラン・ガレー氏は「140億個のRFIDタグ付き製品のうち、63万9000個という数字は取るに足らないように見えるが、次世代サプライチェーンへの重要なステップだ」と述べ、サプライチェーンを統合しデータ共有を実現するには共通のメカニズムが必要になるとまとめた。

今後オーバーン大学のワーキンググループは、ブロックチェーンによるソリューションのスケーラビリティや、実際のビジネス上の課題解決に役立つどうかを検証していくとのこと。