5分でわかるブロックチェーン講座
第8回加熱する日本のブロックチェーン産業。トヨタも取り組みを本格化
2020年3月25日 06:00
1.GMOコインでBATの取り扱いが開始
今週(3月17日から3月23日までの1週間)は、日本発のニュースがメディアを賑わせた。まずはGMOコインによる、暗号資産BATの新規上場について紹介する。
GMOコインは3月18日、同社の運営する暗号資産取引所にてBAT(Basic Attention Token)の取り扱いを開始した。BATは、プログラミング言語JavaScriptの生みの親であるブレンダン・アイク氏によって創業されたBrave Softwareが開発する次世代ブラウザBraveのネイティブトークンだ。Braveは、プライバシー性能の高いブラウザとして注目を集めている。
BATは既に、Twitter上で送金することができたり、アマゾンギフト券やスターバックスカードに交換できたりと、幅広い活用実績を持っている。世界中の主要な暗号資産取引所に上場しているため、長らく日本での取り扱いが大きく期待されていた。
今回の新規上場により、日本でもBATおよびBraveのエコシステムが一層拡大すると予想される。
参照ソース
- GMOコイン、Braveブラウザの仮想通貨BATを取扱開始
[仮想通貨 Watch] - 速報 GMOコインが仮想通貨BATの取扱いを発表 日本の新規ホワイトリスト入りか
[CoinPost]
2.トヨタがブロックチェーンへの取り組みを本格化
日本を代表する企業の一つである大手自動車メーカーのトヨタが、ブロックチェーンへの取り組みを本格化している。
トヨタのブロックチェーン研究部門である「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」は、ブロックチェーンに関するイメージ動画を公開した。なお、動画の公開に先がけてトヨタファイナンシャルサービスがトヨタ・ブロックチェーン・ラボの取り組みの一つとして、Personal IDおよびVehicle ID基盤の構築とID間連携に関する実証実験を行っている。
公開された動画では、「100年に一度の変革期」を迎える自動車業界で、ブロックチェーンが重要な要素であると紹介した。ブロックチェーンを活用することで、昨今の情報化社会における「分散性」の潮流と組み合わさり、複数のサービス間における「情報の信頼性」を保証した状態で連携させることが期待される。この特徴が、自動車業界でも同様に適用できると強調した。
参照ソース
- トヨタ、ブロックチェーン事業のイメージ動画を公開 「100年に1度 変革期を迎える自動車業界」
[CoinPost] - トヨタ、ブロックチェーン活用の新時代実現に一歩前進
[仮想通貨 Watch]
3.Steemブロックチェーンがハードフォークを決行
古参プロジェクトとして日本にも多くのユーザーを抱え、充実したコミュニティを形成することに成功していたSteemitが、文字通り「分裂」している。Steemitコミュニティは3月18日、基盤となるSteemブロックチェーンをハードフォークすることで、新たなブロックチェーン「Hive」を形成すると発表した。
事の発端となったのは、2月に発表されたTRONへの統合だ。この統合により、Steemの運営会社が保有していたSteemトークンが、TRON創業者のJustin Sun氏へ渡ることになった。Steemの運営会社が保有していたトークンは、元々は開発資金の捻出のために使用されることが宣言されている。しかしながら、今回の統合でSun氏の手に移ったことにより、この宣言が守られるかどうかが怪しくなったのだ。
これにより、Steemブロックチェーンの分散性が損なわれることを危惧したコミュニティが、Steemブロックチェーンからの脱退を表明したのである。
Steemは、DPoSというコンセンサスアルゴリズムを採用している。DPoSでは、トークンを多く保有するほどコミュニティ内での意思決定に大きな影響力を与えることができる。そのため、Steemトークンを最も多く保有していた運営会社は、このトークンを開発資金の捻出にのみ使用し、コミュニティ内の意思決定には反映させないと宣言していたのだ。
参照ソース
- TRONに買収されたSteemit。コミュニティの一部はハードフォークを選択
[仮想通貨 Watch] - Steem community plans hard fork to expel Justin Sun’s Steemit
[TheBlock]
4.ステーブルコインDaiの担保資産にUSD Coinを追加
分散型金融(DeFi)の中核を担うMakerDAOは3月17日、発行および管理を行うステーブルコインDai(DAI)の新たな担保資産としてUSD Coin(USDC)を採用することを発表した。USD Coinは、既に担保資産として採用されているEthereum(ETH)とBasic Attention Token(BAT)に次ぎ3つ目となる。
新型コロナウイルスの影響により発生した約400万ドルの損失事件を受け、MakerDAOは緊急の意思決定を下した。DAIと同じくステーブルコインであるUSDCを担保資産として採用することで、昨今の不安定な市場や不足している流動性の問題に対処することが目的だ。
MakerDAOのガバナンスコミュニティでは、先週16日に緊急会議が開催された。本来であれば十分な期間を設けて意思決定を図るところ、今回はわずか1日程度で方針が決められている。いくら緊急性が高いとはいえ、この意思決定プロセスはコミュニティからの大きな反発を招く結果となった。
USDCは、DAIやETH、BATと同じくEthereumの共通規格ERC-20によって発行されている。そのため、互換性があり流動性も十分であることから、DAIの担保資産としては適切であったともいえるだろう。しかしながら、その意思決定プロセスに問題があったため、コミュニティからの賛同を得ることができていない状態が続いている。
Web3.0にとって重要な要素となる「ステーブルコイン」と「自律分散型組織(DAO)」。その両方に対して同時にアプローチしているMakerDAOには、今後も注目していきたい。
参照ソース
- MakerDAO、ステーブルコインDAIの担保金にドルペッグのUSDCを追加
[仮想通貨 Watch] - MakerDAO community considers adding USDC as collateral to ease DAI liquidity strain
[TheBlock] - Onboarding USDC as collateral to mitigate liquidity risk
[MakerDAO Forum]