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衆院通過「仮想通貨関連の法改正案に対する付帯決議案」全文

改正法施行における政府への15の留意事項。松平議員の案文朗読より

松平浩一議員(立憲民主党・無所属フォーラム)が付帯決議案を朗読した(衆議院インターネット審議中継より引用、2019年5月17日衆議院財務金融委員会)

 2019年5月17日の衆議院財務金融委員会にて、松平浩一議員(立憲民主党・無所属フォーラム)が付帯決議案提出者を代表して案文を朗読した。本稿では松平議員の案文朗読を元に、衆議院で可決された「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」に対する付帯決議案について、全文を掲載する。

 同改正法案は記事「仮想通貨関連の資金決済法・金商法改正案、賛成多数で衆院審議可決」でお伝えしたとおり、5月21日付けで衆議院審議にて可決された。可決された改正法案は、衆議院財務金融委員会が審査を行い、国際情勢に即した規制の実施など政府への15項目の要望を付加して付帯決議したものだ。今後はその原案が参議院で審査・審議される。

「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」に対する付帯決議案

 政府は次の事項について十分配慮すべきである。

 1)近年における暗号資産およびICO取引の実態等をふまえ、利用者保護等の観点から実効性のある検査および監督体制を整備すること。その際、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図ると共に、必要な定員の確保および機構の整備に努めること。

 2)暗号資産・電子記録移転権利およびそれらを支えるブロックチェーン技術は、デジタル化・ネットワーク化が進展する新しい時代の中において、特に先進的かつ革新的な技術とその適用であることを踏まえ、本法により整備される各種規定の運用に際しては、民間部門が過度に萎縮することがないよう法解釈の周知徹底に努めると共に、基礎となるブロックチェーン技術の開発および提供によるイノベーションにも十分留意すること。

 3)暗号資産・電子記録移転権利についての政府令等を定めるに当たっては、規制対象事業の実態を考慮し、整合的かつ合理的に実施可能な制度を全体として構築するよう努めること。

 4)暗号資産・電子記録移転権利については、特定の地方公共団体域内や企業内、もっぱら事業者間において利用されるものなど、多様な利用場面が想定される他、暗号資産交換業者の実態やICOについても、広く一般人を対象とする物から、適格機関投資家等、一定の知識経験を有する者のみを対象とする物など、多様な物が想定される。本法の運用にあたっては、こうした多様性に配慮して、暗号資産の利用目的や利用対象者の関係で過度な規制とならないよう注視し、必要に応じ適切に対応すること。

 5)技術革新による金融サービスの急速な変化に対応し、適切な金融規制体系を構築する観点から、必要に応じて行政当局による監督権限の行使を可能とする法令に基づく規制と、環境変化に応じて柔軟かつ機動的な対応を行いうる自主規制団体が策定する自主規制の連携を、十分に図るよう努めること。

 6)暗号資産・電子記録移転権利については、クロスボーダー取引が盛んに行われている実態に鑑み、G20各国の規制動向を十分に把握すると共に、各国と連携し、国際的に調和の取れた規制体系となるよう適時に見直しを行うこと。

 7)ICOの会計処理等は、発行されるトークンの性質に応じて異なるものと考えられるため、国際的な議論を勘案しつつ、会計処理等の考え方について整理の上、ガイドラインの策定等の必要な対策を講ずること。

 8)付則第32条の検討を行うに当たっては、法的安定性の確保および利用者保護の一層の確保のために、暗号資産・電子記録移転権利等の移転およびその他の権利義務関係といった司法上の取り扱いの明確化も含めた検討を行うこと。

 9)地方公共団体が、暗号資産および電子記録移転権利を資金調達の手段として適切に利用することができるようにするための方策について、検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 10)暗号資産および電子記録移転権利の譲渡、暗号資産を用いたデリバティブ取引等に係る所得に対する所得税等の課税のあり方について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 11)金融商品取引法第2条第3項に規定する有価証券の募集および同条第4項に規定する有価証券の売り出しに対する規制のあり方について、電子記録移転権利の取引の実態を踏まえた検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 12)他人のために暗号資産の管理のみを業として行う者に対する規制のあり方について、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策という国際的要請に応えつつ、可能な限り暗号資産交換業の利用者の利便性の向上に資する観点から検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 13)8から12までの各項の検討および措置を行うに際しては、暗号資産および電子記録移転権利ならびに、それらの基礎となる技術が我が国の産業の高度化に資する可能性があることを踏まえ、法規制やこれらの技術の開発および応用を過度に制限することがないように配慮すること。

 14)金融機関の顧客情報を第三者に提供する業務については、個人情報の有用性に配慮しつつ、センシティブ情報を含む個人情報の保護が図られるよう万全を期すと共に、十分な検査・監督体制の整備に努めること。

 15)金融機関の顧客情報を第三者に提供する際の、当該顧客の同意においては、提供先である第三者の範囲に、当該第三者における利用目的および提供される個人情報の内容について、当該顧客が理解した上で同意に関する判断を行うことができ、かつその意思を明確に反映できる方法により行われるようガイドライン等を適切に策定すると共に、検査・監督によるその実効性を確保し、当該顧客の利便が損なわることがないようにすること。