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LayerX、日本企業で初めてイーサリアム財団の助成金対象に選定
Ethereum2.0向け合意形成アルゴリズム「CBC Casper」の研究を評価
2019年10月11日 12:29
東京都を拠点にブロックチェーン技術の研究開発に取り組むLayerXは10月10日、Ethereum財団が運営する助成金プログラムの対象企業に選ばれたことを発表した。「Ethereum Foundation Grants Program」への選定は、日本に拠点を置く企業としては史上初となる。同社は、Ethereumバージョン2.0で実装が検討されている、新たな合意形成アルゴリズムの候補の1つ「CBC Casper」に関する研究を評価された。
LayerXは2018年8月に、GunosyとAnyPayの合弁会社として設立。ブロックチェーン技術に特化したコンサルティングや開発を主な事業としている。同年末頃から、大小問わず国内のブロックチェーン関係のカンファレンスやセミナーへ同社のエンジニアらが協力する姿が頻繁に見られるようになり、国内コミュニティへの情報発信を積極的に行うテック企業という側面も持つ。今回の発表同日にも、CBC Casperの研究メンバーの1人である神場貴之氏が、日本オラクル主催のミートアップイベントBlockchain GIGに登壇。神場氏はエンタープライズEthereumにおけるDApps実装を解説していた。
LayerXの代表的な研究成果の1つとして、シドニーにて4月に開催されたEDCON2019などで発表した論文「Refinement and Verification of CBC Casper」がある。メインの執筆者はLayerX・R&Dエンジニア/CBC Casperコアリサーチャーの中村龍矢氏で、同社エンジニアの神場氏と英インペリアルカレッジ・ロンドンのドミニク・ハルツ(Dominik Harz)氏との共著だ。同論文はCBC Casperに関する論文として、世界で初めて査読付き国際学会に採択されたものだという。論文はCryptology ePrint Archiveから閲覧できる。また、中村氏自身が論文の要点説明を投稿している。
Ethereum財団が運営する「Ethereum Foundation Grants Program」は、財団が運営する最も長期的な助成金プログラムで、今回第6回目の分配を行う。財団は同プログラムを、Ethereumのエコシステムの前進に最も大きな影響を与えるものとして位置づけている。プログラムは応募制で、財団の審査により分配金が決定するというプロセスを取る。第4回までは、財団は制度の透明性のために分配金の金額を詳細に提示していたが、第5回以降は分配金の金額を明かさない方針を取っている。
助成金は、Ethereumの将来に向けた研究開発にのみ利用される。LayerXの場合は「CBC Casperの将来的なEthereumへの導入に向けた理論的研究、及び日本国内のEthereum研究コミュニティの活性化」を行うという。
Ethereum2.0で実装予定のプルーフオブステーク(PoS)型の合意形成アルゴリズムCasperは、「Casper Correct By Construction」(CBC)と「Casper the Friendly Finality Gadget」 (FFG)の2種類が提案されている。最終的にどちらかを採択する可能性が高いため、双方の検証が進められている。LayerXが研究を評価され、今後も同社が注力するのはCBC Casperの方となる。