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仮想通貨デリバティブ市場が拡大。取り扱う交換所数は1年で12倍

1日平均2.6兆円以上の取引高に=CoinGecko年間レポート2019

(Image: Shutterstock.com)

2019年は仮想通貨デリバティブが盛り上がった年だった。仮想通貨のグローバルランキングサイト「CoinGecko」は、同社が発表する仮想通貨に関する2019年年間レポートで、この1年の仮想通貨交換所での取引について、こう振り返った。1年でデリバティブ取引所の数は12倍以上に増加したことを報告した。本稿では、同書から仮想通貨交換所の動向に関する内容を紹介する。

世界的に仮想通貨デリバティブ市場が盛況

仮想通貨交換所、現物取引とデリバティブ(CoinGecko年間レポートより引用、以下同)

ランキングサイトであるCoinGeckoは、仮想通貨デリバティブについては2019年より取り扱いを開始している。同サイトに掲載されたデリバティブ取引所は2019年7月1日時点で6件だった。それが10月1日時点では17件、年末には25件にまで増加したという。年始と比べるとその数は12倍以上になる。

デリバティブ市場をリードするのは、BITMEXだ。2019年の後半に入って、米国の大手先物取引所の参入も見られるが、多くのデリバティブ提供者は、Binance、Kraken、bitFlyerなど既存の仮想通貨交換所だという。レポートでは、新規参入者がリーダーのBITMEXに今後どう影響を与えるのかに注目したいという。

また、同時に現物取引においても、仮想通貨交換所は大きく成長した年だという。2019年だけでも、同サイトが集計する取引所の数が130件増え、年始の270件から最終的には400件にまで増加したという。その数が、1.5倍になっている。

しかし、その数は増えたものの、業界をリードするのはBinance、Coinbase、Bitfinex、Krakenなどと変わりはなく、業界構造での変化は見られなかったようだ。

現物、デリバティブ市場の分析

取引内容については、以下のような分析結果となった。

まず、現物取引においては、1日平均6.5兆円の取引高。これは年始の1.4兆円と比べて364%増になる。取り扱う仮想通貨の銘柄は、6500銘柄以上。1年で3000以上の銘柄が追加されたという。取り扱いペアは、実に6万3732ペアにものぼるという。

現物取引の仮想通貨交換所首位はBinanceで、同交換所では181銘柄、594の取引ペアを扱うという。2019年12月の平均1日取引高は1000億円以上になる。

デリバティブにおいては、1日平均2.6兆円以上の取引高となる。373以上の金融商品があり、204以上の異なるインデックスがあるという。

デリバティブの仮想通貨交換所首位はBITMEXで、同交換所では8銘柄の仮想通貨と21のパーペチュアルスワップ(永久スワップ)と先物取引を扱うという。2019年12月の平均1日取引高は2000億円以上、Open Interest(未決済約定総数)は1000億円になる。

デリバティブの歴史、人気の金融商品

デリバティブの人気商品

仮想通貨のデリバティブ商品はBITMEXのBitcoin(BTC)パーペチュアルスワップの提供により始まったとされる。

Bitcoinのパーペチュアルスワップは、2019年12月には平均して1日1300億円相当のOpen Interest(未決済約定総数、OI)と1兆円以上の取引高を誇り、仮想通貨デリバティブトレーダーに最も人気の商品だという。

この分野では、BITMEXが常にトップであり、OIに関しては2位のBybitとは大きく差が開いている。また、取引高もBITMEXがリード。市場全体の30%ほどの占有率を誇っている。続いて、Binanceが17%となる。

2020年には、仮想通貨交換所以外の業界からも参入が見込まれているデリバティブ市場だが、これらのリーダーの牙城を崩す対抗馬は現れるのか、すでに注目の的になっている。

記事「2019年のビットコインは投資リターン95%増」では、CoinGeckoの年間レポートから仮想通貨関連の市場概況を紹介した。そちらも併せて読んでいただきたい。