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Tetherの市場占有率が拡大。仮想通貨全体で4位まで成長

ステーブルコイン市場82%をUSDTが占有=CoinGecko年間レポート2019

(Image: Shutterstock.com)

2019年はステーブルコインが注目を集めた。米ドルや円など法定通貨と連動するステーブルコインは、仮想通貨の価格変動リスクを緩和する目的で開発された次世代決済手段として期待されるデジタル通貨だ。

仮想通貨のグローバルランキングサイト「CoinGecko」は、同社が発表する仮想通貨に関する2019年年間レポートで、ステーブルコインの市場規模について報告した。本稿ではステーブルコイン市場に関する内容に絞って紹介する。

ステーブルコインのTether(USDT)が市場占有率4位に

2019年の仮想通貨市場占有率(CoinGecko年間レポート2019より引用、以下同)

2019年の仮想通貨市場占有率ランキングでは、Bitcoin(BTC)、Ethereum(ETH)、Ripple(XRP)の主要仮想通貨に続いてドルペッグのステーブルコインTether(USDT)が4位になった。Tetherは2019年に時価総額シェアを拡大した唯一のステーブルコインだという。

ステーブルコイン市場規模占有率

上記グラフは、ステーブルコインのみの市場規模占有率だが、トップ5銘柄中Tetherのシェアは常にトップ。最終的には、2位のUSD Coin(USDC)に大きく差をつけ82%もの占有率となった。

ちなみにステーブルコイントップ5は、Tether(USDT)、USD Coin(USDC)、Paxos Standard(PAX)、TrueUSD(TUSD)、Dai(DAI)の5銘柄。いずれも、ドルペッグのコインとなる。

価格の安定度

同レポートでは、トップ銘柄の価格の安定度についても報告している。ちなみに評価は、1ドルから1%以上の価格乖離を価格安定(ペッグ)の失敗と定義する。

トップ5のステーブルコインの内、Daiの価格変動が最も激しく、2019年中に111回価格の安定に失敗したという。その他のステーブルコインについては、ほぼ安定。Daiに次に失敗が多いのはTrueUSDだが、回数は25回。続いて、USD Coinの22回、Paxos Standardの14回。Tetherは最も安定しており、失敗した回数は3回だったという。

ステーブルコインの価格安定を保つ能力と全体的な流動性の間には大きな相関があるという。Daiを取引できる仮想通貨交換所は5銘柄の中で最も少なく、取引高についてもDaiはPaxos Standardの100分の1、Tetherの1万2000分の1と、最も小さいという。

2019年は、Facebookを中心に開発が進められている仮想通貨Libra(リブラ)の発表もあり、ステーブルコインへの注目度が高まった年だ。また、ドルペッグのステーブルコインTether(USDT)が、Bitcoinネットワークを活用したOmniベース以外に、EthereumのERC-20ベースやTRONのTRC-20ベース、Liquid Networkベースで発行されるといったことで、実用面でもより使いやすさが広まったともいえる。2020年のステーブルコインは、さらに面白くなりそうだ。

記事「2019年のビットコインは投資リターン95%増」および「仮想通貨デリバティブ市場が拡大。取り扱う交換所数は1年で12倍」では、CoinGeckoの年間レポートから仮想通貨関連の市場概況と仮想通貨交換所の動向を紹介した。そちらも併せて読んでいただきたい。